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戦前の沖縄の染織品がヨーロッパに 紅型など300点、6施設で所蔵 琉球王府時代の一級品も 県立芸大の調査で確認


戦前の沖縄の染織品がヨーロッパに 紅型など300点、6施設で所蔵 琉球王府時代の一級品も 県立芸大の調査で確認 バーゼル文化博物館所蔵の琉球王府時代末期ごろの芭蕉赤地絽織経縞衣装(提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 当銘 千絵

 欧州諸国にある6カ所の美術館や博物館に、戦前の沖縄でつくられた紅型や絣などの染織品約300点が所蔵されていることが、県立芸術大芸術文化研究所・伝統工芸研究室の調査で分かった。ほとんどが1952~58年に日本に滞在したオランダ人美術商ヤープ・ランゲウィス氏が収集したもので、中には琉球王府時代末期の貴重な織りや染めもある。同研究チームの新田摂子准教授は「いずれも保存状態が良く、日本民藝館と同等クラスの一級品も含まれている」と指摘する。

 ヨーロッパに所蔵されている沖縄染織品は、人間国宝(首里の織物)に認定されている祝嶺恭子氏が調査したベルリン国立民族学博物館のコレクションが知られているが、今回、新田准教授が率いる研究チームはベルリン以外で資料群を新たに発見した格好だ。

 同研究チームは在欧の沖縄染織品の基礎的調査に加え、これらがいつ、どのような経緯でヨーロッパへ移動したのかを探るため2017~23年にオランダ、スイス、ドイツ、ベルギーにある6博物館などを訪問し、調査した。その結果、これらに所蔵されているほとんどの沖縄染織品は、ランゲウィス氏からの購入だったことを突き止めた。 

(当銘千絵)