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与那国の樽舞湿原「調査・保全を」 昆虫学者ら有志、港湾計画巡り県議会に陳情 沖縄


与那国の樽舞湿原「調査・保全を」 昆虫学者ら有志、港湾計画巡り県議会に陳情 沖縄 港湾計画が浮上している樽舞湿原=与那国町比川
この記事を書いた人 Avatar photo 南 彰

 自衛隊などの使用を想定し政府が整備する「特定重要拠点」として、琉球列島最大規模の湿地帯の樽舞(たるまい)湿原(与那国町)で港湾建設が計画されていることについて、昆虫学者の有志らが18日、県議会の中川京貴議長宛てに、調査と保全を求める陳情を提出した。

 提出者は、日本昆虫学会会員の屋富祖昌子氏、日本トンボ学会の渡辺賢一元会長、県病害虫防除所の照屋匡元所長ら。

与那国島の樽舞湿原の調査と保全を求める陳情を県議会にした後、記者会見する昆虫研究者の有志=18日、県庁

 樽舞湿原は、環境省の「生物多様性の観点から重要度の高い湿地500」に登録され、鳥獣保護区にも指定されている。希少な野生動植物種が数多く生息しているが、湿原一帯をしゅんせつして港湾にする計画が浮上している。

 陳情では、湿原の保全に努めると共に、専門家を入れた鳥類や水生昆虫、淡水性貝類、植物などの調査を早急に進めるよう求めている。今後、県にも同様の働きかけをする予定だ。

 渡辺氏は提出後の記者会見で、「樽舞湿原はわき水、たまり水、流水など変化に富んだ環境がそろっている。まずきちんと調べることが大切だ」と語った。

 (南彰)