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信じた無罪 やっと 91歳姉 涙止まらず 「神々しく聞こえた」 袴田さん再審判決


信じた無罪 やっと 91歳姉 涙止まらず 「神々しく聞こえた」 袴田さん再審判決 袴田巌さんに無罪を言い渡した静岡地裁の再審判決公判を終え、地裁前で笑顔を見せる姉のひで子さん(中央)ら=26日午後
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「裁判長が無罪と言うのが神々しく聞こえた。涙が止まらなかった」。静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)が26日、再審無罪を勝ち取った。長かった闘いに、待ち望んだ答えがやっと示された。弟の無実を信じて支え続けた姉ひで子さん(91)は安堵(あんど)の表情を浮かべた。出廷を免除された袴田さんは法廷から離れた自宅近くで穏やかに過ごした。 (1面に関連)
 「皆さまの応援のおかげでございます。長い間ありがとうございました」。2時間に及ぶ判決公判を終え地裁前で支援者から花束を受け取ったひで子さんはほほ笑み、感謝の言葉を繰り返した。
 長期間の拘束で拘禁症状が残る袴田さんに代わり、判決言い渡しでもひで子さんが証言台の席に座った。「被告人は無罪」。主文を聞いたひで子さんは一緒に闘ってきた弁護団と顔を見合わせ、固く握手。あふれ出る涙をハンカチで拭った。
 潔白を意識し白を基調としたジャケット姿で判決に臨んだひで子さん。静岡地裁へ向かう際には、再審公判中の今年1月に亡くなった西嶋勝彦弁護団長の額に入った写真を強く握りしめた。
 袴田さんは拘禁症状の影響で他者とは意思疎通が難しい状態が続いているという。ひで子さんは判決の報告について「巌の目を見て、言わなきゃいけない」と難しい胸中を明かした。