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【深掘り】沖縄との協議軽視、露骨に 大浦湾くい打ち試験 政府、米兵性的暴行事件と「切り分けて粛々と」 


【深掘り】沖縄との協議軽視、露骨に 大浦湾くい打ち試験 政府、米兵性的暴行事件と「切り分けて粛々と」  鬼木誠防衛副大臣(左列手前から3人目)らと面談する玉城デニー知事(右列奥)=3日、防衛省
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に関し、防衛省は3日、大浦湾で鋼管ぐいの打ち込み試験の作業に着手した。県は事前協議の対象と捉えているが、防衛省は「護岸工事そのものではない」として協議対象外だと主張、双方の見解は食い違ったままだ。

 設計変更を巡る昨年9月の最高裁判決やその後の代執行を盾に、県との協議を軽視して工事を加速させる政府の姿勢が改めて露呈した。 


 3日は米兵による性的暴行事件を受け、玉城デニー知事が直接抗議するため、防衛省や外務省、首相官邸を回っていた。玉城知事は防衛省で鬼木誠副大臣と対面した際、くい打ちの中止も求めた。

 設計概要説明書によると、A護岸の工事は海上ヤードと同じく1年目の当初から始まり、3年10カ月以上を要するとされる。沖縄防衛局は県議選2日後の6月18日、県に対し事実上の協議打ち切りを宣告し、8月以降に大浦湾側の工事に着手する考えを伝えた。

 選挙への影響を避けてタイミングを図ると同時に「一日も早く工事を進める」(政府関係者)と作業を加速させている。県は協議が調っていないとして試験の中止を求めているが、これまでにも国は度重なる県の行政指導に対しほぼ「無視」を続けてきた。実効性はほとんどないのが実情だ。

 県関係者は、県議選直後の協議打ち切り通告から試験開始まで、2週間あまりの短期間で進められていることに「準備万端整えて、選挙が終わるのをじっと待っていたのだろう。与党が負けたことで露骨に進めようとしている」と苦々しげに話す。

 ある防衛省関係者は県の中止要請を意に介さない様子で「くい打ち試験はあくまで準備作業で、中止するつもりはない」と語った。くいを打つという作業内容は本工事と同じで、環境への影響も想定されるが「護岸の造成自体は(代執行で)承認を得ていることだ」と強調した。

 県内では米兵が起訴される性的暴行事件が相次いで発覚し、県民の怒りが高まっている。別の防衛省関係者は「(事件とは)切り分けて工事は粛々と進めたい」と語った。県関係者の一人は米軍が関わる事件が相次ぐ中での着手に「ひどいタイミングだ」と語り、過重な基地負担に苦しむ沖縄に配慮を示さない国の姿勢を疑問視した。

  (明真南斗、沖田有吾、知念征尚)