日本維新の会が、パワハラや不適切な贈答品受領などの疑惑を内部告発された斎藤元彦兵庫県知事への対応に苦慮している。辞任論が飛び交う中、斎藤県政の誕生に尽力した経緯もあり、事実解明が先だとの立場を堅持する。党内からは「かばっているように見える」(中堅)との不満も出ており、イメージダウンを懸念している。
維新は2021年兵庫県知事選で斎藤氏と政策協定を結んだ上で推薦し、初当選させた。当時、大阪府以外で初めて誕生した「維新系知事」だった。斎藤氏は維新共同代表の吉村洋文府知事の下で財政課長を務めており、当選後も連絡を取り合うなど連携を深めた。
今年3月の告発に対し、斎藤氏は「うそ八百」と否定したが、県議会は6月、維新が反対する中で調査特別委員会(百条委員会)を設置。告発後に停職3カ月の懲戒処分を受けた元県幹部は7月に百条委への出席を予定していたものの、死亡した。自殺とみられる。
斎藤氏は辞職を拒否する一方、知事選で維新とともに推薦した自民の末松信介県連会長は「大きな正しい決断をしてほしい」と要求。国会で維新と統一会派を組む教育無償化を実現する会の前原誠司代表も「尊い命が失われた。収めるには辞職しかない」と主張する。
維新の藤田文武幹事長は「斎藤氏が説明責任を果たし、検証することが一番大事だ」と反論。遠藤敬国対委員長は「自民は完全に人ごとのようだが、『製造者責任』の一翼を担っている」と批判の矛先を自民にも向けるものの、幹部の一人は「誰も収束に向けた道筋を描けていない。心配だ」と明かした。
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維新、兵庫知事へ対応苦慮 内部告発巡り
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琉球新報朝刊