【ニューデリー共同=間庭智仁、渡辺敦】インド・ニューデリーで開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は27日、新潟県の「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産登録を決めた。日本は戦時中の過酷な労働環境を地元の展示施設で説明すると表明。朝鮮半島出身者の強制労働があったとして登録に慎重な姿勢を示していた韓国も同意し、全会一致で決まった。ユネスコ諮問機関は日本に追加説明を求める「情報照会」と勧告していたが、委員会で「登録」に格上げされた。日本の世界遺産は文化21、自然5の計26件となった。
日本は手作業で金を採掘していた江戸時代を遺産の価値として強調していたが、委員会で「全ての労働者、特に朝鮮半島出身者を誠実に記憶にとどめ、金山の全体の歴史に関する説明・展示戦略を強化すべく引き続き努力する」と理解を求めた。
朝鮮半島出身者が危険な作業に従事する割合が高かったとするデータを、現地の施設で既に展示。全ての労働者のための追悼行事が毎年行われる予定であることも明らかにした。
韓国は「熟慮を重ねた結果、登録決定に賛同する。委員会に先立ち関連資料を展示した日本側の対応は、韓国側の懸念払拭に資するもので歓迎する」と述べた。
佐渡金山は国の文化審議会が2021年12月、23年の登録を目指す候補に選んだ。韓国が反発する中、政府は22年2月に推薦書を提出。しかしユネスコに不備を指摘され翌年に再提出し、水面下で韓国と調整を続けた。
「相川鶴子金銀山」と「西三川砂金山」で構成する佐渡金山は、江戸幕府の下で生産システムが整備された。
世界の鉱山で機械化が進んだ16~19世紀に、伝統的手工業による高純度の金を生み出す技術が発展し、17世紀には質、量ともに世界最高水準だったとされる。
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佐渡金山、世界遺産に 韓国も同意、負の歴史展示へ
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琉球新報朝刊