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東電、デブリ採取着手 福島第1 事故後13年半で初


東電、デブリ採取着手 福島第1 事故後13年半で初 福島第1原発の廃炉工程
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 東京電力は10日、福島第1原発2号機で2011年3月の事故後初となる溶融核燃料(デブリ)の試験的取り出しを始めた。2週間程度かけて3グラム以下を採取する。政府と東電は同日、廃炉が工程表で最終段階の「第3期」に移行したと明らかにした。開始は当初計画より3年遅れ、ことし8月の準備作業もミスで中断していた。デブリは極めて高い放射線を出し、総量は推計880トンに上り、廃炉は最難関の工程にさしかかる。
 廃炉は41~51年に完了する計画だが、本格的な取り出し工法は未定で、放射線量が極めて高い環境下での作業が求められる。デブリの処分場所も決まっていない。政府や東電は、試験的に採取した少量を分析し、工法の選定や処分方法の検討に反映させたい考え。
 デブリは第1原発1~3号機に残る。政府と東電の廃炉工程表は3段階に分かれ、4号機使用済み核燃料プールからの燃料取り出しが始まった13年に第1期が完了。今回の取り出し着手で第2期が終わり、最後の第3期に移った。林芳正官房長官は10日の記者会見で「今後、廃炉の根幹となる最も困難な作業段階に入る」と述べた。
 東電の計画では、原子炉格納容器の貫通部から最長22メートルに伸びるパイプ式装置を差し込み、先端の爪形の器具でつかんで回収する。装置がデブリに届くまでに今後1週間程度、回収完了までは少なくとも2週間程度を見込む。
 東電は10日午前6時半過ぎに準備作業を再開させた。約1・5メートルのパイプを接続して装置を押し込み、午前7時20分に貫通部手前で放射性物質を遮断する「隔離弁」を通過させ、取り出しを開始。隔離弁から約60センチ進め、同53分にこの日の作業を終えた。11日はさらに約2・3メートル進め、貫通部の半ばまで到達する計画。
 東電は当初、21年の取り出し開始を計画したが、工法の変更などで3回延期。ことし8月22日に準備に取りかかったが、5本をつなげて装置を押し込むパイプの1本目の接続準備中に並び順の間違いに気づき、作業を中断した。東電は手順書の見直しや、東電社員が作業状況を確認するなどの再発防止策をまとめ、作業再開を決めた。