【ワシントン10日=石井恵理菜】米共和党の下院議員でグアム代表のジェームス・モイラン氏が6月、米会計検査院(GAO)に対し、名護市辺野古の新基地建設について、工事の進捗(しんちょく)状況を評価し、軟弱地盤や活断層などの要素を含めて報告書の作成を求めていたことが分かった。モイラン氏はGAOに提出した書簡で、県が技術的懸念などで国の設計変更を不承認としたことに触れ、「これらの問題は未解決のままだ」と指摘。周辺の海底状況や日本政府が提案した地盤改良工事の詳細な説明を求めた。
訪米中の玉城デニー知事は10 日(日本時間11日未明)、モイラン氏の補佐官と面談し、同氏の取り組みに感謝を伝えた。補佐官は、グアムと沖縄は小さな島に軍隊が駐留する似たような状況があり「沖縄の人の声も大切にされるべきだ」と話したという。
書簡では米軍の存在と即応性を効率・安定的に維持する必要性を強調し「普天間飛行場代替施設の維持費は米国の納税者が負担する。米国の戦略目標に影響を与える懸念は最小限に抑えるべき」と指摘した。報告書に取り入れるよう求めた評価要素は(1)地盤改良工事が将来的な米海兵隊の作戦に影響を及ぼすか(2)軟弱地盤が地盤沈下を引き起こし、米国が負担する長期的な維持管理費用が増大するか(3)建設によって生じる可能性のある遅延や予算超過―など。
玉城知事は「追求しなければいけないことを追求する責任があるという、その認識を共有できた」と意義を強調した。
玉城知事はほかに、民主党のジル・トクダ下院議員、共和党のグレン・グロスマン下院議員、エリッサ・スロットキン下院議員の補佐官、ダン・サリバン上院議員の補佐官とも面談した。面談は全て非公開だった。
10日は在米の防衛・安全保障担当記者との朝食懇談会や、初の試みとして議員補佐官を集めたブリーフィングも開いた。
11日は国務省、国防総省の担当者との面談、ジョージワシントン大でシンポジウムに登壇する。