prime

ロ軍機に警告 フレア発射 空自機、領空侵犯で初 北海道・礼文島 中国合同演習関連か


ロ軍機に警告 フレア発射 空自機、領空侵犯で初 北海道・礼文島 中国合同演習関連か 北海道・礼文島付近の領空を侵犯したロシア軍の哨戒機=23日(防衛省統合幕僚監部提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信社

 防衛省統合幕僚監部は23日、ロシア軍の哨戒機1機が同日午後、北海道・礼文島付近の領空を3度にわたって侵犯したと発表した。航空自衛隊のF15戦闘機とF35戦闘機が緊急発進(スクランブル)し、警告として赤外線誘導ミサイルなどをかく乱する「火炎弾(フレア)」を発射した。対領空侵犯措置で空自機がフレアを発射したのは初めて。 

 木原稔防衛相は東京・市谷の防衛省で取材に応じ「極めて遺憾」と述べ、外交ルートを通じてロシアに強く抗議し、再発防止を求めたとした。ロシア海軍と中国海軍は今月、合同演習「北部・連合―2024」を日本海で実施。23日には中ロの艦艇計8隻が宗谷海峡から太平洋に向けて共同航行しており、木原氏は「(ロシア機の領空侵犯と)関連している可能性が考えられる」とした。防衛省はフレア発射は武器使用には当たらないと説明している。

 政府は首相官邸の内閣危機管理センターに情報連絡室を設置。林芳正官房長官は、訪米中の岸田文雄首相から冷静かつ毅然(きぜん)と対応し、米国など関係国と緊密に連携するよう指示を受けたと明らかにした。

 対応した空自機は無線で退去するよう警告を続け、3度目に侵犯した際に強い警告の意思を伝えるために、フレアを発射した。ロシア機はその後、現場空域から離れた。フレア発射は空自北部航空方面隊が判断した。

 防衛省によると、ロシア機は礼文島の北側の海域上空に接近し、午後1時3~4分ごろ、約1分間日本領空に入った。いったん領空を出たロシア機は、南北にジグザグ飛行した後、領空内をかすめるように旋回。午後3時31分ごろに約30秒間、同42~43分ごろに約1分間侵犯した。

 今年8月には中国軍のY9情報収集機1機が長崎県五島市の男女群島沖で領空侵犯した。また1987年12月には旧ソ連の偵察機が沖縄本島付近などの領空を侵犯し、空自機が唯一警告射撃をした例がある。

<用語> 領空侵犯 領域国の許可を得ず空域に侵入する行為。自衛隊法84条には「対領空侵犯措置」として、外国の航空機が侵入した場合、着陸や退去させるため、防衛相が自衛隊の部隊に必要な措置を講じさせることができると規定。自衛隊は常時、レーダーで日本周辺を監視し、領空侵犯の恐れがある航空機を発見した場合は、戦闘機を緊急発進(スクランブル)させ、必要に応じ警告。実際に領空侵犯すれば、着陸や領空外への退去を命じる。従わなければ武器使用も可能とされる。