prime

石垣で住民避難の「実地確認」 有事想定、座席や手荷物はどうする?「登録センター」の運用も検証 沖縄


石垣で住民避難の「実地確認」 有事想定、座席や手荷物はどうする?「登録センター」の運用も検証 沖縄 「実地確認」の参加者ら=25日、石垣市中央運動公園屋内練習場
この記事を書いた人 Avatar photo 照屋 大哲

 武力攻撃予測事態を想定した国民保護を巡り、県、石垣市、竹富町は内閣官房など国と共催で25日、住民避難の手順を確認する「実地確認」を石垣市内で実施した。全国初とみられるという。

国民保護に関する実地確認で受け付けに並ぶ避難者役の行政職員(奥)=25日、石垣市中央運動公園屋内練習場

 昼と夜に分けて行われ、延べ350人余が参加した。日中は市中央運動公園屋内練習場に、行政が全避難者のデータを管理する「住民避難登録センター」を設置し、手荷物の確認や航空座席登録などの流れを確認した。センターでの受け付けや座席登録、手荷物の確認などで、想定した所要時間を超過することがあった。

 夜は新石垣空港で、保安検査を通過して搭乗するまでの動線や所要時間を確認した。

住民避難登録センターからバスで避難してきた想定で、新石垣空港に到着した避難者役の行政職員ら

 実地確認について、県や市は国民保護法に基づき各自治体が定めた「避難実施要領」の実行性向上が目的で、特定の事態を想定したものではないとしている。

 昼の実地確認では行政職員を中心に約100人が参加した。住民役の行政職員約30人が市内に設置された一時集合場所から同センターに到着した想定で開始。受け付けや航空機の座席登録などの各部門を行政職員が対応し流れを確認した。市などは全員が手続きを完了する所要時間を20分と設定。1回目は約27分、2回目は約13分だった。

臨時の保安検査場を通過するため列をつくる避難者役の行政職員ら

 市などは一連の流れを車いす利用者や聴覚障がい者らに見てもらい、受けた助言を今後に生かすとした。1回目の実地確認に参加した、視覚障がいのある平良常(つね)さん(88)は「目が見えなくて不安だったが、介助者が丁寧で良かった」と語った。台湾に疎開した体験を踏まえ、有事を想定した動きに「島に戻ってくることができるのか不安になる」と吐露した。

 昼の実地確認終了後、記者団の取材に応じた中山義隆市長は、事前に住民避難登録をしていない市民や持ち込みできる手荷物の制限を超えている人への対応が課題だとして、「情報の周知徹底が必要」だと述べた。今後は住民参加型の大規模な実地確認をしたいとの考えも示した。

(照屋大哲)