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オスプレイで患者搬送 日米演習で初訓練、戦闘負傷者を想定 石垣島や徳之島で実施


オスプレイで患者搬送 日米演習で初訓練、戦闘負傷者を想定 石垣島や徳之島で実施 オスプレイ(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉数 陽

 統合幕僚監部は26日、10月下旬から始まる日米共同統合演習「キーン・ソード」の概要を発表した。石垣島や鹿児島県の徳之島など、島しょ部で自衛官や米兵が戦闘で負傷したことを想定し、垂直離着陸輸送機オスプレイを含む日米の航空機を使って主要な自衛隊病院へ搬送する「患者後送訓練」を実施する。島しょ部から自衛隊病院まで傷病者を搬送する一連の動作について、日米合同で訓練するのは初めて。

 訓練では自衛隊那覇病院を医療拠点に設定、日米共同による医療施設の運営と治療、後送の訓練をする。島しょ部から搬送された傷病者のうち、より高度な治療が必要な患者は九州や関東地方の自衛隊病院へ搬送する。

 石垣からの搬送は陸上自衛隊オスプレイを、徳之島からの搬送はCH47大型輸送ヘリコプターも使用する。与那国からは米軍のオスプレイなども使用する。与那国では災害対処訓練を実施し、戦闘による傷病者ではなく、災害の被災者搬送を想定している。

 傷病者搬送を含む衛生訓練について、統合幕僚監部は離島での事態対処能力の向上のために「非常に重要」だとした。

 キーン・ソードではその他にも、那覇基地から那覇軍港までの車列訓練が実施され、車両には地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の発射機3台が搭載される。県内の民間インフラも使用する計画で、那覇、新石垣、与那国の3空港、中城、石垣、平良、久部良、那覇の5港湾が使用される。全国で使用される空港は合計12カ所、港湾は20カ所。取材によると、宮古空港の使用も検討されている。

 訓練期間は10月23日から11月1日。一方、現在、全国の駐・分屯地や演習場で2021年以来3年ぶりに陸自の全部隊を対象とした実動演習が実施されており、今月中にも地対艦ミサイル(SSM)、地対空ミサイル(SAM)を運用する部隊が奄美大島、石垣島、宮古島に移り演習を行う。「キーン・ソード」にも参加する。

 (嘉数陽)