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続投執着、説明責任残る


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 兵庫県議会で不信任決議を受けた斎藤元彦知事が自動失職し、出直し選挙に挑むと表明した。自ら辞職するのではなく強制的な失職を選ぶことで、自らの非をできるだけ認めない形を取ったとみられる。続投に執着する姿勢も鮮明になったが、知事選で勝算が見込まれているわけではない。結果にかかわらず県議会調査特別委員会(百条委員会)で説明責任を果たす必要がある。
 地方自治法は不信任決議を受けた首長は10日以内に議会解散できると規定。だが解散しても、県議選で自身の賛同者が多数を占める議会構成に変えることは困難だった。
 過去の知事不信任決議は4例あり、刑事事件絡みの2例は辞職。残る2例は議会側との政策的対立を背景に失職後の出直し選を選び、「脱ダム」政策などが争点となった長野県の田中康夫氏は返り咲きを果たした。
 斎藤氏の場合、疑惑告発文書への対応のまずさや県政混乱の政治的責任、百条委での「道義的責任が何か分からない」発言など、知事としての資質の欠如が不信任の理由だ。文書を公益通報の対象外とした判断は違法性も指摘され、田中氏のケースとは状況が異なる。
 告発した元県幹部が死亡する最悪の事態を防げなかった結果は重大で、百条委による検証の継続は不可欠だ。県政運営を監視すべき議会側にも混乱長期化の責任がある。