自民党の次期衆院選政権公約原案が2日、判明した。派閥裏金事件を踏まえ「ルールを徹底して守る政党に生まれ変わる」とし、政治資金や選挙制度を不断に改革すると明記。石破茂首相が改定に意欲を示す日米地位協定について「あるべき姿を目指す」と記した。経済対策は「経済あっての財政」の考えに立ち、デフレ脱却最優先の経済・財政運営を行うとした。関係者が明らかにした。
首相の衆院解散表明を受け、小野寺五典政調会長は2日、部会長らを党本部に集めて公約策定作業に着手した。公約原案によると、政治の信頼回復策として、使途の報告義務がない政策活動費の透明性確保や、政策活動費を監査する第三者機関の設置を盛り込んだ。設置期限は触れていない。
国会議員に月額100万円支給される「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)の使途公開や、未使用分の国庫返納などにも言及。首相が総裁選で訴えた「防災省設置」を念頭に、災害対応能力を強化する方針も打ち出した。電気・ガス料金の高騰対策や、物価高の影響を受ける事業者や低所得者らへの支援も提唱した。
基地問題では、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を着実に進める一方、米国と連携して事件と事故防止を徹底する。
憲法改正は、緊急事態条項の新設や9条への自衛隊明記など党の改憲案4項目を提示し、国会の憲法審査会で議論を深めて早期改正を実現するとした。大学や高専など高等教育の無償化を促すほか、党所属国会議員の女性の割合を現在の12%から、10年以内に30%に引き上げる目標を掲げた。