【PR】Biz Talk② 公共施設の維持管理と官民連携 魅力ある街へ協力を


 公共施設の維持管理に民間の資金やノウハウを活用する官民連携(PPP)が推奨されています。特にコロナ禍の今、感染症対策費で自治体の財政が逼迫し、その重要性は増しています。名護市は同市所有施設の付帯設備の更新に当たりPPPを取り入れ、新しい官民連携モデルとして注目されています。このPPPについて、名護市の渡具知武豊市長、事業構想を考案したエステックアセットマネジメント(本社・名護市)の芝垣知明社長に、導入の経緯やメリット、今後の街づくりにおける連携の在り方などについて聞きました。(文中敬称略)

聞き手:島洋子 広告事業局次長

企画制作:琉球新報社広告事業局




修繕や補修
財源確保へ長期視点


 島洋子 公共施設の維持管理における官民連携が推奨されています。その中で、名護市は市の施設「みらい2号館」の付帯設備更新に当たり、PPPを取り入れました。全国に例のない官民連携として注目されています。まず、名護市の公共施設の現状、活用や管理についての方向性をお聞かせください。

 渡具知武豊 本市では、1970年の市制施行から多くの公共施設が整備され、施設を整備することで発展し、市民の暮らしも豊かになってきました。しかし、全国の自治体でも同様だと思いますが、高度経済成長期を中心に整備された公共施設が、一斉に更新時期を迎えることになり、そのための財源の確保が課題となっています。現在保有する公共施設を適切に維持管理していくためには、長期的な視点を持って、更新、統廃合、長寿命化等を計画的に行う必要があると考えています。


名護市の景観(名護市提供)

 

 島 住民サービスを提供する必要上から、名護市にはたくさんの公共施設があると思います。維持管理にどのくらいの予算が必要となっていますか。

 渡具知 2016年度策定の「名護市公共施設等総合管理計画」では、本市の建物系施設の支出の年間平均額(13~15年度)は約9億2千万円となっています。これは光熱水費、点検、修繕、補修、清掃、指定管理委託料等を合わせた額です。現在所有する公共施設を全て維持するため、現状規模のまま大規模改修や建て替え、更新を行った場合、建物系施設が今後40年間で約1096億円、市道や上水道、下水道などのインフラ系施設が約935億円かかる試算となりました。

 建物系施設とインフラ系施設を合算すると40年間で約2031億円で、毎年約51億円かかる試算です。市の予算には年度ごとに限りがあり、全ての公共施設をこのまま維持することは容易ではありません。

 島 名護市の建物系施設で代表的に何がありますか。


渡具知武豊氏 名護市長

 渡具知 代表的なものでは、名護市の市庁舎や市民会館があります。庁舎と市民会館は時期を近くして建設されたため、維持管理や今後の建て替え等、大きな課題になります。ですから、いろいろな工夫が必要だと思っています。

 島 そのような中、名護市が利用したのが、エステックアセットマネジメントが構築した、公共施設の付帯設備等の賃貸事業「アセットファイナンス事業」です。芝垣社長、この事業についてご説明ください。

 芝垣知明 弊社のアセットファイナンス事業は、投資家から集めた資金を活用して不動産・動産を保有し、それを事業者にお貸しして投資家には賃料収入から配当する方法です。民間企業向けには事業用不動産そのものを対象としていますが、自治体向けには動産、つまり設備更新を対象としています。いずれにおいても相対的に安い賃料でのリースを実現しています。

 自治体向けの対象動産は償却期間の後に無償譲渡を実現しようと思っています。設備更新で、自治体の重要な資産をお預かりするという考えを持っているからです。自治体にとって使い勝手の良い“所有の在り方”を提供し、使い勝手の良い存在になることを目指しております。

 アセットファイナンス事業は、一定期間経過後の譲渡価格をあらかじめ簿価で設定できることに大きな特徴がありますが、ファンドという形式で取り組んでいる企業はおそらく日本中でも弊社のみではないかと思います。加えて、投資対象を、不動産ではなく動産としている点も弊社のみかと思います。弊社は“東アジアにおける「オンリー・ワン」の投資銀行”をビジョンとして掲げています。他の投資銀行がやっていないこと、社会のニーズと常に向き合い応え続けていくことがわれわれの社会貢献と考えます。

整備費用の抑制
自治体ニーズ捉える

 島 名護市は2019年に行われた、みらい2号館の空調設備更新でアセットファイナンス事業をPPPとして取り入れました。渡具知市長、導入の経緯やメリット、懸念されたことなどをお聞かせください。

 渡具知 みらい2号館は05年に本格的なデータセンターとして供用を開始しました。当初から入居しているクオリサイトテクノロジーズ株式会社は、データセンターサービスの他、システム開発、システム運用のサービスを行っています。雇用者数は200名を超えており、名護市の企業集積施設に入居する企業の中でも多くの雇用を生んでいます。


みらい2号館(名護市提供)

 

 空調設備の更新では、当該施設が稼働中のデータセンターであり、24時間365日の遠隔保守を実施している空調機器の設備更新となるため、施設の運用に支障をきたさないよう機器を導入する必要がありました。そのため対応可能な事業者の選定など、密に調整を行い進めました。

 空調設備更新には多額の費用が必要となりますが、補助金や交付金、起債などの活用ができません。毎年の支出を平準化した金額を賃料として、支出していくアセットファイナンス方式を活用することで、単年度での多額の初期費用を抑えることができ、特区施設の効率的な運用を行うことが可能となりました。

 島 21年4月には同じみらい2号館で、UPS設備(無停電電源装置)の更新でも同様の手法を活用されました。この手法について、他の自治体も関心があると思います。

 渡具知 同施設は整備から15年を超え、空調設備などの付帯設備は更新時期を迎えており、UPS設備更新の際にも、空調設備更新と同様に多額の更新費用がかかることから、設備更新時の費用を平準化するため、アセットファイナンス方式を活用しました。



 

 他の自治体においても、施設管理上、設備の更新が課題としてあげられている自治体もあると考えられます。PPP方式(アセットファイナンス)の導入については、更新時の費用を平準化し、初期費用を抑えることができる手段の一つとして活用の見込みはあると考えています。

 島 民間活用が推奨されているものの、実際に民間のファンドを活用することに関して、懸念や異論がなかったのですか。

 渡具知 いろいろな意見がありましたが、しっかりと説明を受けながら、調整を進めました。よく理解をした上で、今回の導入に至ったということです。

 島 名護市の事例は全国に先駆けたアセットファイナンス事業です。芝垣社長はどう評価しますか。


芝垣知明氏 エステックアセットマネジメント社長

 芝垣 事業構築に当たり、最初に考えたのは「自治体のニーズって何だろう?」という点です。民間企業のように不動産(公共施設)そのものを対象としたニーズは自治体にはありません。施設は、低コストでの起債や補助金による調達が可能だからです。「それでは起債や補助金による調達が難しいものって何?」と考えた結果が、公共施設に付随する“設備費用”しかも“更新時”にいき着いきました。多くの自治体は、設備更新費用の調達のほとんどのケースで、各自治体が直接負担する「単費」という形での予算措置をされているかと思います。一方、リースの活用はリース料が一般的に高く設定されていることから、実際にはあまり普及していないのが現状かと思います。その中間ともいえる、アセットファイナンスの活用により“安い賃料でのリース”を実現するという選択肢を、自治体に持ってもらう。それにより、われわれも自治体に貢献できると考えております。

 特に、21年4月のUPS設備更新の際は、融資する金融機関、出資する投資家、設備更新工事を請け負う施工業者、いずれも沖縄県内に本社を置く企業でした。それにより県内で資金が還流する、いわば資金面での「地産地消」を実現できたことも、非常に有意義な事例となったと考えています。

 島 他の自治体からの反応は。

 芝垣 一定の評価をしていただいていると思っています。コロナ禍前には、県内各自治体の企画や財政ラインを中心とした勉強会を実施してきました。次年度予算等の協議に入る前の段階で、具体的な事案をもって相談いただいた自治体も、複数いらっしゃいます。でも、実際の実績はみらい2号館の事案にとどまっているのも事実です。

 課題として二つ考えています。一つ目は、どの設備の更新が必要だという、実際の資金ニーズは、企画ラインでも財政ラインでもなく現場で生まれます。この情報をいかに企画ラインで漏れなく吸い上げ、そしてアセットファイナンスの活用をいかに財政ラインにて理解していただくか、弊社としても引き続き考え、アクションを継続していきたいと考えております。二つ目の課題は、弊社の知名度も含め、アセットファンナンスがまだ知られていないという影響もあると思われ、発信に力を入れていきたいと考えています。

これからの街づくり
“日本初”“沖縄発”新たな連携

 島 名護市が考える今後の街づくりで、官民連携についての考え方をお聞かせください。

 渡具知 市の中心である名護湾沿岸に位置する「名護漁港周辺エリア」と「21世紀の森公園周辺エリア」を拠点とした街づくり計画として、「名護湾沿岸基本計画」を、20年度に策定しました。基本計画策定後の取り組みとして「21世紀の森公園周辺エリア」では、Park-PFI等の官民連携を行うこととしています。「名護漁港周辺エリア」でも、PFI導入も視野に入れた取り組みを検討しています。

 当該基本計画の方針として「民との連携促進による魅力の高い空間づくり」を掲げており、今後の街づくりにおいて、名護湾沿岸のみならず、本市として積極的に官民連携の取り組みを行うこととしています。本市は、これまでも指定管理者制度を活用した公共施設の管理を中心としたPPPの取り組みを行ってきました。今後は多くの公共施設において老朽化が確認され、更新方法の検討が必要な中、PFI手法の積極的な導入に向け、PPP・PFIのワンストップ窓口の設置を検討するなど、街づくりにおける積極的な官民連携を図り、行政のみならず民間も一体となった魅力ある街づくりの展開に向けた体制構築を図っているところです。


聞き手・島洋子 琉球新報社 広告事業局次長

 島 ワンストップ窓口というのは面白いですね。

 渡具知 やはり行政のノウハウと民間のノウハウを合わせることによって、さらに新たな街づくりに向けた取り組みができるのではないかと、われわれは民間の力を大いに活用しながら、今後の街づくりに努めてまいりたいと思っています。

 島 芝垣社長は、街づくりでの官民連携について、どう考えていますか。

 芝垣 官民連携は大きな話ですが、その民の中の一社として貢献していきたいと思います。公共施設の設備更新に民間資金を導入するアセットファイナンス(動産ファンド)は、沖縄で導入した“日本初”の試みです。この動産ファンドを立ち上げることができたきっかけ、それは紛れもなく名護市からの気付きのおかげです。アセットファイナンスの提案を受け入れ、理解してくださる自治体、ファンドコンセプトに理解してくださる投資家、この両者の理解があってこそ、動産ファンドの存在意義があると考えております。

 この方法を沖縄の各自治体に届けていきたいと思っています。また沖縄に限定されるものではなく、むしろ全国の自治体にも共通するニーズではないかと考えています。このコロナ禍では、以前よりも初期投資を抑えたい、という自治体のニーズは増えているのでは、と考えています。より発信力を高めて、使い勝手のいい存在になっていきたいと考えています。“沖縄発”のこのアセットファイナンス事業を、全国の自治体にも発信していきたいと考えています。官民連携という大きな枠の中では一部分ではありますが、それが弊社ができる、社会貢献だと考えています。

 島 確かにコロナ禍で自治体も経費を抑える必要があるのではないかと推測します。その中で、このアセットファイナンス方式は名護発の仕組みとして全国に広がりそうですね。

 渡具知 コロナ禍において、名護市の経済活動や住民生活の支援などにより、結構な財政支出をしています。もちろん国からの交付金もありますが、それ以外の支出もあります。どの自治体も同じだと思いますが、財政的には余裕がありません。公共施設の設備更新が迫られている中、名護の事例のような民間との連携は、全国でPRをすればもっと反応してもらえると思います。もっと全国に広く伝えてほしいと思っているところです。

 芝垣 渡具知市長からの叱咤激励も含めて、われわれに力を与えてくれるものです。各自治体に説明して、発信していきたいと思います。

 

用語

PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)

 公共サービスの提供を、行政と民間が協力して行う手法を幅広く捉えた概念。「官民連携」。民間の資本やノウハウを活用し、公共サービスの向上や効率化を目指す。

PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)

 PPPの手法の一つで、行政が、公共施設などの設計、建設、維持管理、運営などで、民間の資金、経営能力、技術などを活用する。

アセットファイナンス

 事業者がアセット(資産)を基にした資金調達の方法。



エステックアセットマネジメント(ESTAM)


 金融と不動産を融合し、時代が求めるビジネスモデルの構築を目指す企業グループ「エステックホールディングス」の中核会社として、2019年に名護市に設立。不動産・動産を対象とした「アセットファイナンス」を主力事業とし、オーダーメイド型の投資機会の創造に向け、各種ファンドの組成・投資運用を行う。那覇、東京、金沢に拠点を持つ。

金融商品取引業 沖縄総合事務局長(金商)第12号
加入する協会:一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会

https://estec-inc.jp/assetmanagement/



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