経済

【PR】Biz Talk③ 沖縄の経済戦略 東アジア展開の拠点に


 沖縄経済は近年、観光産業にけん引され、好調に推移してきました。しかし、昨年からの新型コロナウイルス流行拡大により、沖縄県や県内企業は経済戦略の見直しを迫られています。これからの沖縄の経済の在り方などについて、那覇空港ビルディング社長で前沖縄銀行会長の安里昌利氏と、エステックアセットマネジメント社長の芝垣知明氏に聞きました。(文中敬称略)

聞き手・島洋子 広告事業局次長

企画制作:琉球新報社広告事業局




アジアの時代 到来

 島洋子 沖縄経済は、新型コロナウイルス流行拡大により基幹産業の観光産業を中心に大打撃を受けていますが、コロナ以前は好調に推移してきました。安里さんは以前より、アジアの中心地としての沖縄の可能性について言及しています。改めて沖縄の優位性についての考えをお聞かせください。

 安里昌利 世界経済の盛衰の歴史をみると、大きなうねりを描きながら変遷しています。18世紀の産業革命後、英国を中心としたヨーロッパ全体の繁栄が100年余り続き、そして20世紀以降は米国を中心とした繁栄の時代でした。21世紀に入り、アジア経済の台頭により、これからアジアの時代の到来が予測されています。


安里昌利 那覇空港ビルディング社長

 その中で沖縄は近年、中国大陸、ASEANに最も近い日本として国内外から注目されています。沖縄を中心に円を描くと、航空機で4時間圏内4000キロメートル以内に約20億人が暮らしており、有望なマーケットとして位置付けられています。沖縄は「地の利」を得ており、その優位性から投資が入ってきています。特にホテルはこの5年間で100件が進出しました。

 あるシンクタンクの報告によると、富裕層の下の中間所得層(可処分所得で約55万円~385万円)は2010年から10年間に、アジアで約10億人増え、28億人となりました。毎年1億人ずつ増えており、皆さんが日本はじめ海外に出掛けています。地の利を得ている沖縄は、ヒト、モノ、カネが交差するスクランブル交差点として、アジアのゲートウェイとして優位性があります。


資金調達の多様化、重要


 島 芝垣さん率いるエステックアセットマネジメントは本社を名護市に置いています。芝垣さんから見た沖縄の魅力は。

 芝垣知明 今、お話いただいた通り「沖縄の優位性」に尽きます。もちろん優れた点ばかりではありませんが、総合的に判断し14年から沖縄で事業展開しています。私たちは「東アジアにおけるオンリーワンの投資銀行」をビジョンに掲げており、「日本と東アジアの架け橋」になりたいと思っています。今後、台湾、次いで香港やシンガポールといった東アジアをターゲットに事業・拠点展開していきたいと考えています。そのための沖縄本社です。オンリーワンというのは、他の投資銀行がしていない事に取り組むという意味で、社会のニーズと向き合い応え続けていきたいと考えています。


芝垣知明氏 エステックアセットマネジメント社長

 主力事業はアセットファイナンス事業です。投資家と事業者との“ウィン・ウィン”の関係実現を目指しています。日々、投資家への説明で使用する言葉は“ローリスク・ミドルリターン”です。投資である以上リスクがない投資はないのですが、過去10年間の実績は“ノーリスク”です。投資家の皆さんに評価いただいています。一方で投資家のほぼ全てが県外の方です。

 沖縄を「東アジアにおける投資銀行の『ハブ』」にするためには、まずは沖縄で投資を知ってもらう、または経験していただく必要があると考えています。県内には、証券会社を含めて投資銀行が少なく、だからといって東京の会社に大切な資産を預けようとはならないと思います。その中で私たちができることは、県内の安定投資を求める投資家の皆さまに、私たちの投資商品を届けるということです。

 島 芝垣さんは資金面での地産地消を目指しています。興味深いです。

 芝垣 今年4月、名護市の運営する施設のUPS(無停電電源装置)設備更新で、弊社ファンドの資金を活用していただきました。その際には、融資する銀行、出資する投資家、設備更新工事を請け負う施工会社、いずれも県内に本社を置く企業で固められました。マネジメントする弊社ももちろん沖縄の会社です。そうすると沖縄県内で資金が還流する、いわば資金面での「地産地消」が実現しました。この資金面の地産地消を、地域特化型ファンドとして、将来的には沖縄で運用したいと思っています。


コロナ禍でできる準備を


 島 これまで好調を維持していた沖縄経済はコロナ流行によって大打撃を受けました。

 安里 観光産業は沖縄の基幹産業ですが、重点を置き過ぎた結果、コロナ禍で大打撃を受けています。そのダメージは、飲食、宿泊業を中心に、販売、流通、製造、農業、水産業まで、県経済全体に打撃を与えています。観光産業に加え、県経済の柱となる産業の育成が急務だと考えます。柱となる産業として、観光産業の他に、情報産業、国際物流拠点が挙げられます。この3本柱で県経済を支える体制の構築が必要だと考えます。

 情報関連企業は2000年ごろには120社ほどしかありませんでしたが、今は400社を超えています。売り上げも4000億円台となり、県経済の柱の一つに成長しています。将来有望な情報産業を、基盤産業として育成に力を入れるべきだと考えます。


「第7回沖縄大交易会2019」で商談を進める出店企業とバイヤーら=2019年9月14日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター


 物流がもう1つの柱です。モノ、ヒトの動きのスクランブル交差点としての沖縄の機能を生かせます。09年に全日本空輸(ANA)の国際航空貨物拠点(ハブ)事業がスタートしました。同事業をバックアップしようと、アジアの優秀なバイヤーを招待する、国際食品商談会「沖縄大交易会」の開催に関わらせてもらいました。コロナ前まで、この沖縄大交易会には全都道府県が参加しており、アジアのバイヤーと商談が行われています。

 しかしANAハブ事業は、コロナの影響もあり、まだまだ軌道に乗っていません。関係者で問題点を洗い出し、早急に体制の建て直しが必要だと考えます。観光産業、情報産業、物流拠点、少なくともこの3本柱は沖縄経済の発展、安定に必要で、エネルギーを注入すべきではないかと考えています。

 島 芝垣さんはコロナ流行による影響はありましたか?

 芝垣 もちろん予測と違った点は多々あります。しかし、われわれ(金融)はあくまで脇役で、投資家と事業者こそが主役なのです。ただ、その主役の皆さんが止まってしまっています。つまり意志決定が遅れているのです。

 私たちの投資事業は、もともと不動産価格の上昇を狙った投資ではなく、事業者からの大事な資産を、適正な価格または安価で借りていただくコンセプトでやっているため、投資の動きに変化はありません。

 アセットファイナンス事業は、事業者側からみれば「事業拡大の支援」となります。民間企業、特に大企業向けには運営する不動産を対象とし、自治体向けには動産、設備更新を対象としています。いずれにおいても“相対的に安い賃料でのリース”実現を頑張ります。加えて、一定期間経過後の譲渡価格をあらかじめ簿価で設定できることに、アセットファイナンスの大きな特徴があります。アセットファイナンスを、ファンドという形式で取り組んでいる企業は日本中でも弊社のみで、公共施設の設備更新に民間資金を導入するアセットファイナンス(動産ファンド)は、沖縄で導入した“沖縄発”で“日本初”の試みです。単に投資ではなく、事業者にも貢献できる商品をいかに作れるかということです。決定が遅くなることに対して、私たちは待つしかないですが、より良い商品を提供できるよう準備しています。

 安里 芝垣さんは非常に良いところに目を付けられて、沖縄に本社を置かれています。沖縄県は軍用地の返還が決まっている土地が約1000ヘクタール(300万坪)あります。那覇軍港、米軍牧港補給地区(キャンプキンザー)など、多くは今後10年前後掛けて返還されます。そこで、跡地利用を地域ごとに捉えた「ゾーニング」という構想が入ってきます。これまでにない大規模な構想で、県外の資本も入ってきます。そしてファイナンスの多様性が必要になります。品ぞろえを多くすることが、金融を受ける側、金融を提供する側の双方にとって有益になります。

 島 跡地利用の検討をする中で、ゾーニングを意識し、街全体を統一感ある計画を作る必要がありますね。

 安里 これからの沖縄経済をどう構築していくのかグランドデザインが必要です。先進地域から学び、戦略展開していく必要があると思います。例えば観光産業では、改めてハワイの取り組みも学ぶ必要があります。情報産業や産業全般については、シンガポールが良い先行事例でしょう。1965年に独立して、50年で一人当たりのGDPは米国を上回り、国際都市としても大きく成長しました。国土は沖縄の3分の1ぐらいですが、人口は550万人超で、沖縄(約145万人)の3倍以上です。独立当時の人口はシンガポールが100万人ぐらい、沖縄も90万人ほどで、ほとんど変わりませんでした。経済成長とともに、仕事を求めて人口が増えたのです。


独立後約50年で著しい経済発展を遂げたシンガポール(2018年撮影)

 シンガポールはやはり地の利があったのです。ヨーロッパとアジアのゲートウェイとなることでした。物流拠点に目を付けて、ビジネスを展開し、何より企業誘致を一生懸命しました。小さな島国ですが、製造業や物流、金融を含めて発展しました。先行地域を学び、分析、参考にして戦略展開していくべきだと思います。

 島 シンガポールでは、どのような投資がされてきたかというのも学ぶべきところですね。

 安里 アジア展開する企業はシンガポールに本部を置きますが、シンガポール進出には資金が必要です。地元にアセットファイナンスがあれば使いやすいでしょう。沖縄も基本的に企業、産業の誘致は欠かせません。その上で競争力の高い産業を育成していきます。

 芝垣 アセットファイナンスは沖縄県への誘致企業の資金調達の1ツールとなると思いますし、県内投資家を募ることで、まさに資金の「地産地消」により沖縄経済に貢献できると考えております。

 島 シンガポールのように国策で集中した投資ができた地域もあるでしょう。一方で、沖縄ではプレーヤーも多様で、手法や要素を組み合わせる必要があります。多様な金融手段が必要になるというのは納得できます。


復帰50周年さらに成長


 島 芝垣さん、アジアを視野に入れたビジネスを進めるに当たり、アフターコロナに向けた構想はありますか?

 芝垣 台湾に拠点を作りたいと思っています。台湾の機関投資家や富裕層が、アセットファイナンスに興味を持っていただいているため、まず台湾に商品を届け、投資していただく。いずれ日本の民間企業(特に大企業)が東アジア進出・事業拡大する際に、アセットファイナンスを活用いただき、ゆくゆくは地域特化型のファンドを各国で提供できたらと考えています。最終的にはアセットファイナンス事業(投資家、事業者の双方)を、“沖縄発”として、東アジア各国で行いたいと思います。でもその前に、コロナ禍でできることとして、沖縄県内の投資家の皆さまにきちんとアセットファイナンスを届けて、貢献したいと思います。


聞き手・島洋子 琉球新報社 広告事業局次長

 安里 芝垣さんが台湾に目を付けられたのはさすがだと思います。沖縄県も台湾経済とコラボレーションをしようと進めています。台湾も沖縄への進出に意欲的です。その理由としては、台湾の優秀な技術を持ってきて、沖縄で最終商品にすると「MADE IN JAPAN」の商品が造れるからです。台湾は国連に加盟していないため、現時点でFTA(自由貿易協定)が使えません。ですから、沖縄に進出し日本製品にすることで、FTAにより関税を抑えることができます。沖縄進出の際、台湾の皆さんがこのアセットファイナンスを上手に使って工場設置などすることで、進出しやすくなります。まず台湾と交流し、ベースを築き、東アジアに進出するということですね。

 島 コロナ収束後の新しい展開が期待されます。ところで来年は沖縄の日本復帰50周年の大きな節目です。今後の沖縄についてどうお考えですか。

 安里 現在、沖縄はコロナ禍で苦戦していますが、アジアが成長する時代が到来する中、沖縄は地の利を得て大きく成長するでしょう。復帰50周年を節目に県経済の基盤強化に向け、官民が一丸となり取り組むことが重要となります。県経済の3本柱の構築に加え、沖縄の玄関口である那覇空港の機能強化・拡充も重要となります。

 コロナ禍を教訓に、空港での感染症対策の徹底により、感染症を水際で抑え込むことが沖縄の繁栄につながります。外部とのアクセスが空路のみのため、他の地域よりも、感染症対策は効果的に実施できる優位性があります。復帰50周年を機に、感染症対策の「沖縄モデル」の構築にも官民一体となり取り組むことを期待します。

 12年の復帰40周年では、記念事業の一つとしてゴルフ男子国内メジャー大会の日本オープンを、県が中心となり誘致し、県内で開催しました。私もゴルフ場の関係者として関わらせていただきました。今年4月に日本人初の海外メジャー制覇を果たした松山英樹選手がアマとして参加、ローアマチュアを獲得したことを覚えています。その効果もあり、沖縄へのゴルフツアー客が増え、観光客の増加に寄与したと思います。50周年には沖縄をPRできるようなイベントも企画してほしいですね。


地元に安定運用を


 芝垣 私は企業としての認知度を高めていく努力が必要で、力を入れたいと思います。40―50代のわれわれ世代があと20年は踏ん張り、社会貢献、沖縄経済への貢献を考えています。

 安里 沖縄では今後、いろいろな開発が進んでいくでしょう。その中で銀行や公庫などの金融に加えて、アセットファイナンスが提供される。投資家と事業者の両方の立場にたたれたファイナンスは非常に大きな意義があると思います。ぜひ沖縄の経済発展のためにも貢献していただきたい。



プロフィル


安里昌利氏(あさと・まさとし) 那覇空港ビルディング社長

 1948年、宜野座村生まれ。73年に琉球大学法文学部を卒業し、沖縄銀行入行。東京支店長・東京事務所長、審査第一部長、常務取締役営業本部長などを経て、2002年に代表取締役頭取に就任。11年、代表取締役会長就任。19年から現職。12~18年に県経営者協会会長を務めた他、県公安委員会委員(04~13年)、沖縄国際大学理事、評議員(11年~)など歴任。著書に「未来経済都市沖縄」(日本経済新聞出版社)。

芝垣知明氏(しばがき・ともあき) エステックアセットマネジメント社長

 1975年生まれ、石川県出身。97年に東京大学卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。2006年に金融機関出身者を主要メンバーとする独立系アセットマネジメント会社に転じ、地方を中心とした不動産証券化などの業務全般を統括。15年から同企業グループの沖縄中核会社の代表取締役を務める。19年、名護市の金融特区にエステックアセットマネジメント立ち上げ、代表取締役社長就任。



エステックアセットマネジメント(ESTAM)


 金融と不動産を融合し、時代が求めるビジネスモデルの構築を目指す企業グループ「エステックホールディングス」の中核会社として、2019年に名護市に設立。不動産・動産を対象とした「アセットファイナンス」を主力事業とし、オーダーメイド型の投資機会の創造に向け、各種ファンドの組成・投資運用を行う。那覇、東京、金沢に拠点を持つ。

金融商品取引業 沖縄総合事務局長(金商)第12号
加入する協会・一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会

https://estec-inc.jp/assetmanagement/



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