菅首相初来県、知事会談 沖縄との隔たり浮き彫り 政府評価も県は不快感

 菅直人首相が慰霊の日の23日、就任後初めて来県し、沖縄全戦没者追悼式への参列後に仲井真弘多知事と会談した。沖縄にとって特別な日にあえて、米軍普天間飛行場移設への地元の理解を求めた形だが、内容は名護市辺野古崎移設を明記した日米合意の履行と沖縄の負担軽減への努力姿勢を重ねて述べるにとどまった。今回の来県を「交渉のスタート」と位置付けた首相には、知事との会談を重ねることで問題の進展をアピールしたいとの思惑も見えるが、追悼式の地元側出席者のあいさつで県内移設反対の声が相次ぐなど、政府と県民の隔たりが一層浮き彫りとなった。

 「率直にお礼の気持ちを表したい」。菅首相は追悼式のあいさつで、11日の所信表明に続き、再び「感謝」の言葉を口にした。「沖縄の負担がアジア太平洋地域の平和、安定につながった」ことに対する「感謝」だが、感想を問われた仲井真知事は「ピンと来ない」と困惑し、知事周辺も「違和感がある」と不快感を示した。
 菅首相は式典後、記者団に対し「(移設地や工法を決める)専門家の検討が(期限の)8月に終わったからといって、問答無用で着工することではない」とし県側への配慮を見せたが、「日米合意を踏まえて進めていく方針は変わりない」とも説明した。

■異例の面談
 首相と知事の2回目の会談で首相が述べた内容は、15日に官邸であった初会談とほぼ変わらない。これに対し知事は県内移設決定に対する県民の思いを説明しながら、「怒り」や「失望」など何度も厳しい言葉を首相に投げ掛けた。
 会談後、知事は「県民が納得いく解決策を政府が出さなければ進まない」と強調。政府が県外移設を断念した具体的な説明がないまま、日米合意の履行方針を繰り返すことに重ねて不快感を示した。
 慰霊の日の首相来県では、見送りの際に空港で短時間、首相と知事と会話を交わすのが通例。今回のように式典後、場所を移して会談するのは異例だ。知事周辺は会談は県側から持ち掛けたわけではないとした上で、「きちんとした会談の場は設定したいが、別の機会にあらためてセットするほどの内容が現時点ではないため、首相が追悼式で来県する機会に合わせたのではないか」と政府側の意向を推測した。

■「交渉スタート」
 「信頼関係をつくっていく第一歩としては非常に意味があった」。首相と知事の会談を政府筋はこう評価し、普天間移設に関する政府と県側の「交渉のスタート」の意義を説明した。
 一方、県側の受け止めは冷ややかだ。知事は「きちっと説明を受けないとスタートができない」と強調。ある幹部は「協議が始まったという認識はない」ときっぱり言い切る。
 具体的な提案がないまま、「沖縄の負担軽減」を繰り返す政府の姿勢に、県首脳は「足を踏み続けながら、具体的な方法は言わず、申し訳ない、痛みを和らげます、と繰り返しているようなもの。県としては足をよけてほしいのだが」と漏らした。(宮城久緒)