辺野古 自衛隊常駐案 基地負担を上乗せ

 防衛省が、名護市辺野古沖に建設予定の米軍普天間飛行場代替施設に、自衛隊を常駐させることを対米交渉のテーブルに載せている。辺野古移設に沖縄社会の反対世論が強まる中、さらなる基地強化につながる常駐構想は、負担の上乗せにほかならない。

 5月末の日米共同声明で「施設の共同使用」がうたわれ、その対象地域は辺野古の代替施設と推測されていたことから、名護市など周辺自治体は警戒感を強めていた。
 2008年からキャンプ・ハンセンで既に共同使用が始まっているが、その内容は米軍と訓練日程を調整し、空いた期間に自衛隊が施設を使用したもの。新たな「共同使用」も、同様の形態になると想定されていた。
 だが自衛隊そのものを辺野古に駐留させる構想は、地元にとって寝耳に水だ。
 省内には「県民は米軍なら反対するだろうが、自衛隊なら大丈夫」との楽観的な見方がある。同じ日本国民であり、人が増えれば周辺の商売も繁盛し、経済的にも潤うから、というのが理由だ。
 しかし、訓練形態や規模によっては住民生活に大きな影響を及ぼすことから、地元の懸念は強い。県民には沖縄戦の経験に基づく自衛隊への特別な感情がある。
 辺野古代替基地をめぐっては、米軍が日本政府が示す飛行経路は誤りと指摘し、住民地域への騒音悪化を伴う経路拡大を求める動きが明らかになったばかり。移設でさえ困難な要素が積み重なる中、さらなる基地強化、地元不在の方針決定と対米交渉入りは、かやの外に置かれた地元住民の不信感をさらに増幅させることは必至だ。
 米側が自衛隊常駐に強硬に反対しているため、実現可能性は一層不透明さを増している。地元配慮に欠ける対応が、沖縄と政府との新たな亀裂を生んでいる。
(与那嶺路代ワシントン特派員)