政治

日本へ「沖縄返還の用意」 ハルペリン氏、望まれぬ基地見直しを

 【米ワシントン11日=松堂秀樹本紙特派員】1972年5月15日の沖縄の本土復帰に向け、米政府側の沖縄返還交渉の方針をまとめた極秘文書「国家安全保障覚書(NSDM)13号」の起草者で、米側の交渉担当だったモートン・ハルペリン氏(73)が11日までに、琉球新報のインタビューに応じた。同氏は「日本政府に『米政府は沖縄返還について話し合う用意がある。沖縄返還が必要だと言い出しても大丈夫だ』と伝え、説得したことが一番の思い出だ」と振り返った。

 ハルペリン氏は米側の安全保障政策に配慮し、追従する日本政府の体質は現在も変わっていないと指摘。「日米両政府は安全保障の観点だけでなく、民主主義政治の中で決断をすべきだ」と述べ、県民が望まない米軍基地の過重負担は見直すべきだと強調した。
 同氏が起草し、ニクソン大統領の国家安全保障問題担当補佐官だったキッシンジャー氏が署名したNSDM13号は、沖縄返還後も在沖米軍基地を最大限自由に使用したい米側の意向が明記されており、日米両政府が72年5月15日に、本土復帰後の米軍基地の使用条件を取りまとめた日米合同委員会合意「5・15メモ」の根拠になった文書。
 5・15メモは現在も効力があり、両政府は同メモに基づいて日本の国土面積の0・6%の沖縄県に在日米軍専用施設の74%を集中させている。同氏は沖縄をめぐる現状について「沖縄返還交渉当時はベトナム戦争などが続いており沖縄の基地は重要だったが、返還からすでに長期間が経過している。もっと早くから在沖米軍基地の縮小に取り組むべきだった」と指摘。「日本本土と同じように沖縄の米軍基地も縮小すべきだ」と述べ、沖縄だけで米軍基地の縮小が進んでいない“差別的構造”にも言及した。
 ハルペリン氏は69年の返還交渉の「核密約」についても言及。「沖縄に核を残すことではなく、有事の際に『戻す権利』を得ることができた」と述べた。
 沖縄返還をめぐっては同氏の日本側の交渉相手だった佐藤栄作首相の密使、故・若泉敬京都産業大学教授が交渉の裏側を回想した著作『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』を94年に著している。

英文へ→A former senior official of the U.S. Government recommends reviewing bases that “the people on Okinawa do not want.”


沖縄返還に向け、米政府側の交渉方針をまとめた極秘文書「国家安全保障覚書(NSDM)13号」

モートン・ハルペリン氏=10日、米首都ワシントン