活動支援の基金設立 子どもの貧困・孤立 解決へ


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子どもの貧困や孤立の解決のため、それぞれの役割や手法を話し合う参加者たち=8日、那覇市おもろまちの那覇市職員厚生会館

 沖縄の子どもの貧困や孤立を解決するために活動する団体やNPOを支援する「沖縄まちと子ども基金」(みらいファンド沖縄主催)がこのほど設立され、8日、那覇市おもろまちで記念フォーラムが開かれた。

NPOや企業の担当者らが、今後のNPOの在り方や、寄付の意義とその仕組み作りなどについて話し合った。約30人が参加した。
 東京のNPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会の常務理事・関口宏聡さんが「社会を変えるためにNPOはどう声をあげるべきか」について講演した。関口さんは今後、地方に権限や財源が移され、行政は職員や政策経費が削減される流れがあるとして「今まで以上に、地方のNPOが重要な時代。県に対し、必要な政策や事業をNPOが提案しなければならない」と語った。
 取り組みの事例として、しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄代表の秋吉晴子さんが、「『沖縄の子どもの貧困と進路―高校生1000人調査より』を通して考えたこと」を報告。関西の同様の調査結果と比べ、県内は「一人親と二人親の差があまり出なかった。二人親家庭でも、それほど余裕がない。返して言えば、一人親は非常に苦しいということ」と訴えた。
 討論は、沖縄ファミリーマートブランディング推進室室長・比嘉智さん、NPO法人こども医療支援わらびの会事務局長の儀間小夜子さん、みらいファンド沖縄代表理事の小阪亘さん、気候アクションセンターおきなわの長田英巳さんも加わり、6氏が登壇した。
 比嘉さんは「県内の(店頭での)募金額は県外に比べ1・8倍。ユイマールの心が残っている」と話した。企業が寄付先を選ぶ際に「一つの課題でも、いろんな活動や団体があり選択が難しい。みらいファンド沖縄などを通すことで寄付しやすくなる」と中間組織のメリットを述べた。
 会場の参加者からは「いろいろな活動をしている人たちが一緒になって、改善に取り組むことが必要」との声も上がった。小阪さんは「(別々のNPOが)一つになることで大きなエネルギーになり、課題を突破することもできる。しかし多様な視点で解決に取り組むことも大事。一緒にやりたい時の土台があればいい。基金が一つのきっかけになれば」と語った。
 「沖縄まちと子ども基金」は、みらいファンド沖縄が設立する。年に1度、基金の趣旨に合う調査や事業を行うNPOを公募し、審査を経て助成。1回目の助成は、来年3月をめどに公募する。個人、法人から寄付を受け付けるほか、同団体がチャリティーイベントを行い、基金を募る予定。問い合わせは同団体(電話)098(884)1123。