伝統ヤムイモ復活へ 琉球エコプロジェクト


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クーガイモの生産拡大に乗り出す琉球エコプロジェクトの安里和夫取締役=今帰仁村

 農業生産法人琉球エコプロジェクト(名護市、横山浩志社長)は、滋養強壮成分が豊富とされるヤムイモの一種「トゲドコロ」(方言名・クーガイモ)の生産拡大に乗り出す。クーガイモは収穫や流通の困難さから、県内生産量が年間10トンにも満たないほどの希少種。

熱帯産のため、国内では沖縄に限り千年以上前から食されてきたという。今帰仁村に確保した約1万平方メートルの農地で初年度は生産量10トン以上を見込み、その後は6次産業化による加工品開発でブランド化を図っていく。
 クーガとは方言で「卵」を意味し、形が似ていることから名付けられた。滋養強壮成分である「ジオスゲニン」の含有量が他のヤムイモと比較して約200倍とする研究結果も報告されており、疲労回復や夏バテ防止などの効果が期待されている。
 和名の通りつるや根に細かいトゲがあり、収穫が難しい。さらに傷が付くとすぐに劣化するため流通もしづらく、生産者は少ない。
 同社は昨年12月から県内全域を回り、個人農家や八百屋などで約300キロの種芋を確保した。植え付けは4月上旬で、12~2月が収穫期。初年度目標のうち約1トンを次年度の種芋とし、年々生産量を拡大させていくという。
 供給体制を整えた後を見据え、現在豊見城市で県産素材を活用した菓子を製造・販売する琉球ドルチェテラス(平松秀哲社長)と連携し、スイーツの開発に取り組んでいる。今帰仁村内への加工施設建設も視野に、直売所を併設し観光客向けのPRを強化したい考えだ。琉球エコプロジェクトの安里和夫取締役は「沖縄でしか栽培できない品種で、他県と差別化していく。伝統的な農産物を復活させて今帰仁村を産地化し、県外、国外に展開していきたい」と今後を見据えている。(長嶺真輝)

英文へ→Farming corporation to increase kuga-imo yam production