希少性で勝負 「猪豚」加工品 アンビシャス(国頭村)


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猪豚の加工品をPRするアンビシャスの玉城吉夫社長(右)と妻・リサさん=那覇市の琉球新報社

 イノシシと豚の交配種「猪豚(いのぶた)」を飼育する農業生産法人アンビシャス(国頭村、玉城吉夫社長)は、5月をめどに加工商品の販売を開始する。商品はソーセージ、ハム、ベーコン、ハンバーグの4種類。

猪豚は国頭村の特産品だが、生産頭数は少なく加工品は珍しい。今後は加工施設の建設や販売店、レストラン経営なども視野に入れ、6次産業化を積極的に推進していく。
 商品名は自社ブランド「くんじゃん命豚(ぬちぶた)」。商品の量や大きさ、パッケージなどは現在準備中で、ハーブやニンニク、トウガラシなどを混ぜた商品の開発にも挑んでいる。インターネット販売から始め、年内に販売店への卸と、那覇市内への自社販売店オープンも予定している。
 国頭村によると、2012年12月現在、村内では15農家が351頭を飼育している。同社の猪豚は放牧で育てているためストレスが少ない。運動量が多く肉量は減るが、その分血行が良くなり肉質が向上するという。玉城社長によると、味は甘みが強く、脂に臭みがない。成分はビタミンAやタウリンなどが豊富で、老化防止や疲労回復などの効果が期待できるという。
 同社は2012年6月、国の6次産業化支援事業の認定を受け、積極的に補助を活用してきた。
 商品開発は昨年9月に開始。6次産業化プランナーの指導を受け、自社ホームページも開設。旅費や参加費の補助を受けて県内外の商談会にも積極的に参加してきた。今秋の着工を予定している加工施設にも、補助の活用を考えている。
 現在国頭村にある約1万2500平方メートルの農場で80頭の猪豚を飼育する。安定供給体制を整えるため、5年後までに約2万3千平方メートルに広げ、600頭規模に拡大したい考えだ。
 玉城社長は「どこにでも出すのではなく、販売先を限定したい。希少価値も高まる。供給体制が整えば、海外出荷を目標にしたい」と話した。(長嶺真輝)