普天間オスプレイ 豪移駐を検討


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 【米ワシントン=島袋良太本紙特派員】米海兵隊が普天間飛行場の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、南半球にあるオーストラリアに移駐する案を検討していることが、9日までに明らかになった。

さらに空中給油機能を生かして広範囲にわたるオスプレイの運用も計画している。海兵隊が太平洋を「ひとっ飛び」し、作戦を遂行できる能力を手にすることを示す。豪州移駐案は、日本政府が普天間飛行場を県内に移設する理由としてきた沖縄の「地理的優位性」の根拠がより乏しくなったことを表していると言えそうだ。
 米海兵隊が具体的な新輸送戦略を明らかにしたのは3月。航空作戦担当のマシュー・グレイビー准将が、米ワシントンでシンクタンクが開いた講演で、KC130空中給油機がオスプレイに空中給油し、長距離作戦に迅速対応する専門部隊を新設すると述べた。
 グレイビー准将は、米海兵隊が豪州北部のダーウィンで200人規模のローテーション配備を始めており、数年後には2500人規模にまで駐留を拡大する計画を説明。本格駐留に伴い、訓練場から離れた医療機関への急患搬送が予想されるとして、この任務のために「普天間飛行場のオスプレイを移駐することも一つの選択肢だ」と述べた。豪州への移駐が普天間のオスプレイの全体か一部かは明らかにしていない。
 一方、1日付の米大手誌USニューズ&ワールドレポート電子版によると、海兵隊はオスプレイ自体が空中給油機能を果たす運用も検討している。今夏にはその実験を始める計画で、そのための機器は既に開発した。海兵隊はオスプレイから最新鋭ステルス戦闘機F35に空中給油するなど、有事も視野に入れた多様な運用形態を描いている。
 同誌の取材に対し、米政府高官は「人道危機から米国施設に対する攻撃までの、あらゆる場面に対応できる、世界規模の迅速な行動能力を米軍は手にする」と語った。