F15飛行再開強行 嘉手納基地


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飛行再開当日に緊急着陸した米空軍嘉手納基地所属のF15戦闘機=30日午後0時9分ごろ、米軍嘉手納基地(渡慶次哲三撮影)

 【嘉手納】米空軍嘉手納基地は30日、同基地所属のF15戦闘機が28日に墜落した事故を受け、中止していた同機の飛行を2日ぶりに再開した。一方、30日午前には飛行したうちの1機が緊急着陸する様子も確認された。

県や地元自治体が原因究明までの飛行中止を求める中、強行的に飛行を再開した形で、反発の声が高まっている。
 同機の飛行は30日午前8時30分ごろ、2機の離陸を皮切りに、午後4時半ごろまで延べ40機以上が離着陸を繰り返した。仲井真弘多知事は同日、「遺憾としか言いようがない。原因究明や対応策をちゃんと求めたはずだ」と述べ、原因究明までの飛行停止と事故原因の公表をあらためて求めた。
 同基地のブライアン・マクダニエル副司令官は「(飛行を中止していた)24時間で基地所属の全てのF15戦闘機を点検し、安全に飛行再開できると確信している」と再開理由を説明した。米空軍は飛行を中止した29日の措置について「事故の後に訓練を停止するのは通常のことだ」として、事故後に取られる形式的な飛行中止と示唆。事故原因公表までには30~90日程度かかるとの見通しを示した。
 29日に事故原因が究明されるまでの飛行中止を求めていた又吉進知事公室長は同日午前、日米の関係機関に直接電話し、再開の理由を問いただし抗議した。いずれも再開理由の説明はなかったという。又吉氏は「極めて遺憾だ。不具合があったものについて原因を追究せず、説明もなく再開するのは理に合わないのではないか」と批判した。
 武田博史沖縄防衛局長は飛行再開への地元の反発について「気持ち、思いは理解している」と述べるにとどめた。社大党の要請では「近日中に第18航空団関係者と面談し、原因究明に最大限の努力をするよう伝えたい」との考えを示した。
 嘉手納町議会は31日、抗議決議を可決する見通しで、同基地と沖縄防衛局に要請する。嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)も6月1日に同基地と沖縄防衛局に抗議・要請する方針。