県警、「識名トンネル」問題で元土建部長ら書類送検


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 県が識名トンネル工事で虚偽契約を結び国の補助金5億円を不正に受給していた問題で、県警は19日までに元県土木建築部長の漢那政弘石垣市副市長(65)ら、契約当時の県幹部と担当職員計12人前後を補助金適正化法違反、虚偽公文書作成・同行使の容疑で書類送検した。県警は身柄不拘束を理由に書類送検を公表していない。

 識名トンネル工事は2006年に47・2%の落札率で大手ゼネコンの大成建設と県内2社の共同企業体(JV)が受注した。工事途中で地盤沈下対策が必要となり、契約額を上回る費用が発生した。
 捜査関係者によると、県幹部らは、トンネル掘削に伴い新たに必要になった地盤強化工事を、契約変更や追加発注などをせずに同じ業者に実施させたという。工事終了後の09年1月に別工事として工期を偽り、同じ業者と随意契約を結び、国の補助金を不正に受給した疑いが持たれている。
 県は12年3月、利息を含め5億7886万円を国へ返還した。同年6月、沖縄総合事務局が補助金適正化法違反と虚偽公文書作成・同行使罪に当たるとして、被疑者不詳のまま那覇署に告発した。県警は同年9月に県庁や南部土木事務所、工事を受注した建設業者など数カ所の関係先を家宅捜索し、契約時の書類などを押収した。
 県議会は識名トンネル工事虚偽契約問題の真相究明を図る調査特別委員会(百条委員会)を設置して調査を進めており、11月定例会で最終報告のとりまとめを目指している。また昨年12月には、市民団体が国への補助金返還額のうち、利息分の約7千万円を仲井真弘多知事や当時の土木建築部長、南部土木事務所長らに返済させるよう県知事に求める住民訴訟を那覇地裁に提起した。