戦争の悲劇を熱演 読谷高生、手作り舞台


社会
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米軍が迫る中、少女が手りゅう弾のピンを引く場面=19日、嘉手納町のかでな文化センター

 【読谷】23日の慰霊の日を前に、読谷高校(渡嘉敷通之校長)は19日、かでな文化センターで「6・23慰霊の日特設授業」を開いた。図書委員らによる平和学習の成果発表や劇「伝えたい思い」「時代の足跡」など、100人以上の生徒が全て手作りした舞台が繰り広げられた。生徒たちはあらためて戦争の悲惨さを学び、平和の大切さをかみしめた。

 ことしのテーマは「語り継ぐ この思い 永遠(とわ)に続く 未来(あす)への誓い」。会場は多くの保護者も訪れ、立ち見が出るほどの盛況ぶりだった。
 図書委員は、普天間飛行場の移設先に計画されている名護市辺野古を訪れるなどして調べた平和学習の成果を発表した。
 放送部は、戦後を生き抜いた人々の暮らしを歌った「艦砲ぬ喰ぇー残さー」を歌う島袋艶子さんを取り上げたラジオドキュメント「喰ぇーぬくさー」を放送した。
 同校伝統の平和劇「伝えたい思い」では、米軍の足音が迫る中、少女が手りゅう弾のピンを引いて集団死したり、米軍に見つかるとの理由から、防空壕内で泣く赤ん坊が殺される場面を熱演した。
 赤ん坊の母親役を演じた2年生の武田海璃亜(みりあ)さん(17)は「演じるだけでつらくなった。本当に経験した人はどんな気持ちで生きたのかを考えてしまう」と語った。
 実行委員長の伊波雄真君(17)は「短い練習期間でみんな頑張った。役を演じることで戦争を追体験でき、当時の人たちの思いを知ることができた」と話した。
 特設授業を初めて見た1年生の桃原夏海さん(15)は「戦争の悲惨さがよく伝わってきた。私たちは戦争を体験していないが、責任を持って語り継がなければいけないと思った」と語った。