島の悲劇 忘れず 渡嘉敷で平和学習「強制集団死」学ぶ


社会
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集団自決の様子を語る(右から)小嶺幸信さんと金城武徳さん=23日、渡嘉敷島北山の集団自決現場

 【渡嘉敷】渡嘉敷村教育委員会(新垣一典教育長)主催の恒例行事「とかしき島平和学習会」が慰霊の日の23日、渡嘉敷村で開かれた。渡嘉敷住民や観光客ら約40人が参加。地元の平和ガイドや「集団自決」(強制集団死)体験者2人を講師に招き、沖縄戦や渡嘉敷島の悲劇「集団自決」について学んだ。

 初めに村中央公民館で太平洋戦争末期の沖縄戦について、地元平和ガイドの講話が行われ、その後、参加者全員が渡嘉敷島北山(にしやま)の集団自決跡地を訪れ、自決体験者の小嶺幸信さん(83)と金城武徳さん(82)が、自決現場で当時の様子を身ぶり手ぶりで悲痛な表情を浮かべて語った。
 小嶺さんは当時15歳、金城さんが14歳。2人は「村長の『天皇陛下万歳』を合図に集団自決が始まった。家族一緒に集まって手りゅう弾を爆発させようとしたが、不発だったため逃げて生き延びた。現場は地獄だった」と当時の悲劇の真相を語った。
 参加者らはメモなどをとりながら真剣に聞き入っていた。
 金城和子さん(50)は「義父は両親、弟、妹の4人の家族を失った。島の悲劇を語り継いでいきたい」と、涙を浮かべて話した。
(米田英明通信員)