辺野古移設、「地元民意尊重を」 国連委員会が指摘


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米軍基地の政策について「地元の意見を尊重すべきだ」といった指摘が相次いだ国連人種差別撤廃委員会=21日、スイス・ジュネーブの国連人権高等弁務官事務所

 【ジュネーブ=新垣毅】国連人種差別撤廃委員会は20、21の両日、日本の人種差別状況について審査し、沖縄の米軍基地に関する政策をめぐっても議論した。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設などに関して、委員からは「地元に関わる問題は事前に地元の人たちと協議して同意を得ることがとても重要だ」「政策に地元住民を参加させるべきだ」といった指摘が相次いだ。

 委員会は、勧告を含めた「最終見解」を今月内にも発表する見通し。委員の一人は「沖縄の人々の伝統的な土地、資源への権利を認め、それを十分に保障し、彼らに影響を与える政策については、その策定に参加できるようにすべきだ。特に米軍基地の問題については初期の段階から地元住民の参加が大切だ」と強調した。
 一方、日本政府の代表は委員会冒頭で「沖縄に居住する人や沖縄県出身者は憲法の規定により法の下に平等だ。日本国民としての全ての権利が等しく保護されている」と説明。振興策によって「本土との格差は縮小し、産業の分野でも着実に発展をしてきた」と説明し、沖縄振興計画の策定主体が国から県へと変更されたことで「より沖縄県の主体性を尊重した施策が講じられている」と述べた。
 沖縄の人々を「先住民」と認めない日本政府に対し、委員からは「琉球の人たちが自らをどう考え、どう定義付けているかも重要で、それに注意すべきだ」との意見も上がった。
 別の委員は「琉球・沖縄はユネスコによって独自の言語や歴史、伝統を持っていると認められており、その特異性をなぜ認めないのか。保護すべきだ」と促した。琉球諸語(しまくとぅば)の保護施策への質問も相次いだ。これに対し日本政府の代表は「沖縄の居住者・出身者は、生物学的、文化的諸特徴を共有する集団である、という見解が国内に広く存在するとは認識していない。従って人種差別撤廃条約の対象に該当しない」などと答えた。
 委員からは「琉球王国は中国の明や清と深く関係した長い歴史がある。1879年に日本に併合され、その後、同化政策が取られた歴史を考えると、日本が沖縄の先住民性を認めないのは正しくない。歴史を踏まえ、住民の意思を尊重し、当然の権利を保障すべきだ」との指摘もあった。
英文へ→The United Nations asks the Japanese government to respect Okinawan people’s opposition against the Henoko relocation plan