日台漁業者交流困難に 台湾側、欠席の意向


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 10月3日に予定されている日台漁業取り決め(協定)に伴う「日台民間漁業者間交流」に、台湾側が出席しない方向で最終調整していることが29日、分かった。水産庁が開催4日前に迫った同日まで、台湾側の渡航費を沖縄漁業基金で助成することを承認しなかったことが要因とみられる。

台湾側は「航空券の手配や日程調整が間に合わない」としている。来期の操業ルール策定に向けた協議の進捗(しんちょく)に影響が出そうだ。
 「沖縄漁業基金事業」で、沖縄と台湾の漁業者の交流事業は全額助成対象となっている。しかし県漁業協同組合連合会などによると、水産庁は25日、10月3日の台湾側の渡航費を同基金から活用しない旨を県漁連と台湾側に伝えていた。
 県漁連の担当者は「連絡を受けた25日、日台漁業協定に関わる交流会なので、基金から出してほしいと伝えた。29日に連絡があり、出してもらえることになったが、二転三転した」と説明した。
 台湾宜蘭(ぎらん)県蘇澳(すおう)区漁会(漁協)の陳春生(ちんしゅんせい)理事長を団長とした台湾漁業関係者一行が、10~13日に来県し、県漁連の国吉真孝会長らと「日台民間漁業交流会談」を開いている。台湾側は、今回の日台漁業者交流開催にも前向きな姿勢を示していたという。
 県内の漁業者や漁業団体代表者らで構成する県日台・日中漁業問題対策等漁業者協議会も25日、10月3日の会合に向け、漁船間隔を4カイリ(7・4キロ)に設定する案や特別協力水域内の漁獲域部分の設定などを議題とすることを決定していた。
 関係者によると、日本と台湾の政府間で来年1月、来期の日台漁業協定の合意水域内の操業ルール策定について協議が予定されている。このため日台の漁業者は、年内にルールの骨格を固める方針だ。
 しかし、今回の漁業者間交流が中止になると、今後のスケジュールに影響が出そうだ。
(呉俐君、上江洲真梨子)