みゃーくふつ、若者へ 宮古島で方言シンポ


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宮古方言活性化について語り合う関係者ら=5日、県宮古合同庁舎

 【宮古島】「宮古の方言に関する講演とシンポジウム」(同実行委員会主催)が5日、宮古島市の県宮古合同庁舎で開かれた。多くの市民が参加。みゃーくふつ(宮古言葉)の話者を増やすため、「高齢者が積極的に方言を話すなど、環境をつくっていく必要がある」との声が上がった。

 「子どもと親の方言力をいかに高めるか」をテーマにしたパネルディスカッションには長崎光義氏(元県教育庁指導主事)、砂川春美氏(市文化協会副会長)、与那覇光秀氏(エフエム宮古取締役)、セリック・ケナン氏(京都大大学院文学研究科言語学専修博士後期課程)の4氏が登壇した。
 宮古言葉を研究しているケナンさんは「(最も言語の豊富な国とされる)パプアニューギニアでは、隣の集落に行っても言葉が通じず、交渉ができない。いろんな言語が死んでいる。話者が少ない言語は経済的にも難しい」と語り、方言衰退とグローバル化などの経済活動の関係について言及した。
 砂川さんは方言大会など文化協会の取り組みを説明した上で「地元テレビで方言ニュースを流したり、絵本を方言に訳して話したりして、子どもを方言の世界に導くことが重要」と訴えた。
 与那覇さんは自信の経験を踏まえ「若い人は腹立たしいぐらいに方言が話せないが、それを言うと、その人はもう方言を話さなくなる」と懸念。方言大会に児童生徒の部を設けるなど、若者の方言学習を温かく見守る仕組みづくりを提案した。
 また「宮古伊良部方言辞典」などの著書がある市伊良部仲地出身で、元高校教諭の富浜定吉さん(84)が「宮古の方言を考える」を題に講演。自身が辞典を作った経験を振り返った上で「宮古は地域ごとに方言の多様性がある。大事な言葉を残すためにも、いくつかの地域で方言辞典ができてほしい」と語った。