沖縄平和賞 国際医療活動のジャパンハートを表彰


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第7回沖縄平和賞を受賞した特定非営利活動法人ジャパンハートの(右から)加藤宏一郎事務局長、吉岡秀人理事長と仲井真弘多知事、小宮山宏沖縄平和賞選考委員会委員長=10日、名護市の万国津梁館

 アジア・太平洋地域の平和の構築・維持に貢献した個人や団体に贈られる第7回沖縄平和賞の授賞式が10日、名護市の万国津梁館で開かれた。同賞委員会会長の仲井真弘多知事から受賞者の特定非営利活動法人ジャパンハート(吉岡秀人理事長)に、賞状、賞牌(しょうはい)、賞金1千万円と、記念品が贈られた。

 吉岡理事長は「栄誉ある賞を頂いた。沖縄県知事、県民の皆さまが10年、20年後に誇りにするような組織としての役割を全うするよう、活動を続けていきたい」と語った。主催者を代表し、仲井真知事が「ジャパンハートの今後のますますのご活躍を祈念する」とあいさつした。
 ジャパンハートは、「医療の届かないところに医療を届けること」を基本理念に、2004年に国際医療ボランティア組織として設立。貧困や医師不足にあえぐミャンマーやカンボジアなどに医師やボランティアを派遣し、無償で医療活動に取り組むほか、現地の医療者育成にも取り組む。国内では東日本大震災の被災地支援のほか、医療者不足が深刻な離島・へき地への医療者派遣などに取り組んでいる。県内では久米島病院に08年、看護師を派遣した。沖縄平和賞は2002年から2年ごとに表彰している。

■吉岡理事長「一期一会で命助ける」
 政治、経済、社会的に困難な状況にある子どもたちを中心に、医療過疎地の人々に医療保障の活動を展開してきたことが評価され、第7回沖縄平和賞を受賞した「特定非営利活動法人ジャパンハート」。10日、授賞式後に行われた記念講演で吉岡秀人理事長は今後の活動へ強い思いを語った。
 10代の時に、医療を受けられない人のために医者になろうと思い医者を志した吉岡理事長は、1995年、ほとんど医療が受けられない状態のミャンマーに入った。「ある町の周辺部は人口32万人に対して医師が1人しかおらず、誰もが平等に医療を受けられる状況ではなかった」と振り返る。
 2004年にジャパンハートを設立し、さまざまな苦労の中でも医療を続け、常に一期一会で目の前の人を助けることを考え続けた。「その場の命を助けるだけではなく、未来につながるような、その人の人生の質を変えるのが医療だ」と述べ、「これからまだまだ、しないといけないことはたくさんある。一人一人の人生を見詰めていくことを続けて、皆さんの善意を形にしていきたい」と意気込んだ。