75分、壮大に歴史追想 民族音楽詩曲「響」


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 沖縄市市制施行40周年記念事業民族音楽詩曲「響」の公演が5日、沖縄市民会館大ホールであった。演奏時間1時間15分にも及ぶ壮大なスケールの器楽曲。これまで抜粋した形では演奏されてきたが、フルバージョンでの演奏は同館のこけら落とし以来33年ぶり。

訪れた観衆は三絃、箏などの伝統的な楽器が生み出す色彩豊かな音色と復活した貴重な器楽曲を堪能した。
 前奏曲で幕開けし、序曲「天地開闢(かいびゃく)」。太鼓、笛の音などが加わり、ゆったりと神々しい印象を与える。第1章「天と地・おもろ」は鳴物の高音が響き、三絃の乾いた音色も呼応する。第2章「雲・太陽」「月」「風と光」と次々と繰り広げられていき、背景の幕には月が浮かび上がる。箏の高音、三絃も加わり、太鼓の力強い音が響き渡っていく。
 第3章「エーファイ」はコーラスがイザイホーで用いられる「エーファイ」を唱え、中盤には箏や笛、三絃の音も合わさる。「海・山・清水」は箏の繊細な音色、ゆったりとした音が鳴り響く。「遊び庭」は軽快な三絃のリズムが始まり、楽しげな印象が爽やかさを演出。第4章「ゆがふ」は三絃のかき鳴らす音色から始まり、箏、笛、太鼓の音色が加わり、ソプラノ箏の低音も演奏に幅を持たせる。
 作曲した普久原恒勇が「聞きどころの一つ」と話していた「月に踊る」では3人が即興で太鼓を叩く。柔らかく、力強く―。それぞれが個性の異なるばちさばきを披露。会場を盛り上げ、観衆の手拍子、指笛も送られた。
 終曲「まつり」は太鼓、三絃、箏など全ての楽器が合わさる。三絃、箏と太鼓の掛け合い、コーラスの手拍子も加わり、一音一音が細かく奏でられていく。天地開闢から始まり、人の誕生、祈りなど歴史を追想した器楽曲。荘厳さが会場を包み、盛大に締めくくった。
(大城徹郎)

33年ぶりにフルバージョンで演奏された民族音楽詩曲「響」=5日、沖縄市民会館大ホール
即興の太鼓のリズムも会場を沸かせる=5日、沖縄市民会館大ホール