「糸ちなぢ」ハワイと絆 15周年で公演 南風原町文化協会


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沖縄の歴史や文化をたどる芝居「糸ちなぢ」で琉舞を披露する出演者=22日、南風原町立中央公民館黄金ホール

 【南風原】南風原町文化協会創立15周年の記念事業「糸ちなぢ」(南風原文化センター活性化支援実行委員会主催)が22日、町立中央公民館黄金ホールで開催された。ハワイのメンバーらで1999年に設立された御冠船歌舞団が芝居「糸ちなぢ」を披露した。

琉球・沖縄が歩んだ歴史や祖先とのつながりを歌や踊り、芝居で表現。祖先を敬う心や独自の文化芸能に誇りを持つ大切さなどを訴えた。
 物語は、沖縄のおばあが縫い物をする場面から始まる。ハワイに渡ったまま、音信不通となっていたおじさんの孫娘とのやりとりを描いた。自分のルーツを追い求めて沖縄を訪れた孫娘は、歴史に翻弄(ほんろう)されながらもたくましく生き抜いてきた沖縄の人々の姿を、おばあの語りを通して知る。
 過去の出来事を回想するおばあ役を宮崎貴子さんが熱演した。
 沖縄が歩んできた歴史的背景を振り返りながら、「どんなきれいな着物でも小さなほころびから、ばらばらになってしまう。うやふぁーふじ(先祖)の血のつながりを大事にしないと、ばらばらになってしまう」と問い掛けた。
 愛する人を思いながら織物をする女性を古典七踊りの一つ「かせかけ」に込めた。薩摩支配下にあった琉球の役人が故郷を離れて薩摩へ渡る船旅を「上り口説」で表現した。
 同歌舞団の和多エリックさんは「沖縄の言葉や歴史、文化を大切にしてほしい。我々もハワイから応援している」と呼び掛けた。
 最後は出演者と観客が一緒になってカチャーシーを踊り、ハワイと沖縄の絆を確認し合った。