県内妊婦は塩分過剰 低体重児の恐れ


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妊婦の栄養素の平均摂取量

 全国健康保険協会(協会けんぽ)沖縄支部が、那覇市と浦添市の妊婦2168人に対して行った栄養の摂取状況の調査で、1日当たりの塩分摂取量が平均12・3グラム(推定平均値)に上り、国が示す目標量(7グラム未満)を上回っていたことが分かった。

同支部が28日、調査の中間報告を公表した。塩分の取り過ぎは「妊娠高血圧症候群」の原因になるため、低体重児の出産につながるリスクが高い妊婦が多いと分析。鉄や葉酸の1日当たりの平均摂取量は必要量を下回り、栄養不足の妊婦の多さも浮き彫りになった。
 同支部は、鉄不足や葉酸不足も貧血につながり、低体重児を出産するリスクがあると指摘する。その上で「妊娠前の栄養状態も出生体重に影響するという観点から、若い世代への働き掛けが重要だ」と強調した。
 2012年度の国民健康栄養調査で、県内女性の1日当たりの塩分摂取量は7・8グラムで、全国平均(9・6グラム)を下回っていた。過去の健康栄養調査で県民の食塩摂取は少ない傾向が続いていたが、今回の妊婦の調査結果は従来と異なる傾向が出た。年齢別では10~20代で、鉄や葉酸が不足し、逆に塩分を取り過ぎている状態が顕著に見られた。同支部は「妊娠中も塩分の多い外食や加工食品をよく食べている人がいる」と課題を挙げた。
 調査は昨年7月から今年3月にかけて実施。那覇、浦添の2市が母子手帳の申請を受け付ける際に、東大が開発した食事歴質問票への記入を依頼した。今後、東大などと協力しながら調査に協力した妊婦が出産した子どもの体重などを追跡し、妊娠中の栄養状態と低出生体重児の関係を分析する。