五感使い伸びやかに 臨床美術作品展


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障がい者や子どもたちが仕上げた作品を鑑賞する来場者=28日、那覇市の県立博物館・美術館

 五感を使ってアートを楽しむ「臨床美術作品展」(NPO法人県福祉ネットワーク協会主催)が28日、那覇市の県立博物館・美術館県民ギャラリーで始まった。障がいがある人や子どもたち、支援者らが仕上げた月夜の空やタマネギ、柿の絵などの伸びやかな40作品と、県内の臨床美術士6人による50作品を紹介している。

無料体験コーナーもある。30日まで。入場無料。
 臨床美術は認知症の症状改善を目的に国内で開発されたアートプログラムで、医師や美術家が1996年に実践研究を始めた。近年は精神疾患の予防や発達が気になる子へのケアとしても活用されているという。
 タマネギや柿を描く前に参加者らは、実際にタマネギを手に持って質感を確かめたり、匂いをかいだりと、対象物を五感で味わいながら作品を仕上げたという。会場に飾られた作品群は色や艶、大きさが一作一作異なり、個性と味わいを放っていた。
 同展は製薬会社ファイザーの助成を受け、6~10月には研修会やワークショップも開いた。臨床美術士の祖根和佳子さんは「誰もが楽しめ、豊かな時間を過ごすことができる」と話した。同協会理事長の赤嶺徳仁さんは「自己肯定感や生きる意欲を高めるために有効な手法の一つだ」と力を込めた。問い合わせは同協会(電話)098(911)8621。