仲井真氏退任 最後の日、怒号と拍手 規制と花道で分断


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県職員に規制される仲井真弘多氏に抗議する市民ら。写真上方は花道をつくり仲井真氏を送り出す県職員=9日午前11時15分ごろ、那覇市泉崎の県庁

 2期8年知事を務めた仲井真弘多氏が退任した9日、県庁内には、埋め立て工法変更申請承認に抗議する市民らが詰め掛け、県職員や県警が規制するなど物々しい雰囲気に包まれた。離任式の会場も1階ホールから6階知事応接室に変更されるなど、異例の事態に。退任会見でも承認の正当性を強調した仲井真氏。庁舎を後にする際は、「恥を知れ」「裏切り者」との市民の怒号と、仲井真氏を見送る県職員の拍手が飛び交った。

 任期をわずか4日残しての承認に反発した約100人の市民は、前日に続いて、この日も午前8時半ごろから県庁1階ホールに詰め掛けた。県職員が市民団体をホール中央に立ち入らせないように1列にバリケードをつくり、職員と市民がにらみ合った。午前11時ごろ、退庁する知事の花道をつくろうと続々と職員がホール内に集まってきたが、県職員らに規制された市民らと、職員がつくる花道とで1階ホールは分断された。
 「職員まで魂を売らないで」などと怒号を上げる市民らを横目に、仲井真氏は警察官に守られながら、時折手を上げて県職員の拍手に応えた。正面入り口に横付けされた車両に乗り込み県庁を後にした。
 一方、退任会見や離任式の日程が正式に報道陣に伝えられたのは9日午前9時すぎ。県は「市民団体が入り込まないようにする」ためとし、エレベーター入り口で各記者の腕章を確認しながら知事応接室に誘導するなど、異例の対応を取った。
 歴代の知事は、県庁1階ホールで離任式に臨んだ。県幹部の一人は「県民ホールで離任式をしない知事は今までにいなかった。去り際が良くない。前代未聞の知事になってしまった」と語った。