躍動、調和、存在感 Viola Essence 2


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ビオラを中心にした楽曲を演奏した(左から)岡田光樹、金城由希子、菅沼準二、新垣伊津子、城間恵、福富祥子=8日、那覇市のパレット市民劇場

 ビオラ奏者の新垣伊津子がプロデュースするコンサート「Viola Essence 2~至高の響き~」が8日、那覇市のパレット市民劇場であった。普段オーケストラでは脇役として演奏を支えるビオラに焦点を当てたコンサート。控えめながらも演奏には欠かせない、やや低音が特徴のビオラの音色が躍動し、他の楽器との調和を見事に演出した。

 出演は新垣、菅沼準二(ビオラ)、岡田光樹(バイオリン)、金城由希子(同)、城間恵(チェロ)、福富祥子(同)。
 幕開けはシェーネベック「2つのヴィオラのためのコンチェルタンテOp.13」。菅沼に師事した新垣と菅沼による“師弟”の協演で、ビオラの乾いた音色と息の合った旋律で2人の掛け合いが続く。
 ベートーベン「弦楽三重奏のためのセレナーデニ長調Op.8」は金城、新垣、福富の3人が登場する。バイオリンの高音に、ビオラが加わり、チェロの重厚な音色も演奏に重要な土台の役割を果たす。時折にぎやかな表情も顔を出し、弦を指ではじく「ピチカート奏法」も彩りを加え、テンポの良さを感じさせる。徐々に旋律が早まったかと思うと、一転してゆっくりに。どこか寂しげな印象も与えた。
 ドヴォルザーク「弦楽三重奏曲ハ長調Op.74『テルツェット』」は岡田、金城の2人のバイオリンと菅沼のビオラが協演した。2人のバイオリンにビオラの温かな音色が重なる。曲が進むにつれ、小刻みにビオラの弦が震えるように、細かく1音1音鳴り響く。
 チャイコフスキー「弦楽六重奏曲ニ短調Op.70『フィレンツェの思い出』」は6人が総出演した。新垣のソロも響き、重厚感と緊張感が生まれていく。岡田のソロをはじめ、それぞれの楽器が弦の上を跳ねるように細かく、速いテンポで展開していく。切れ目のない演奏がホール中を包み、観客を圧倒した。
 ときに他の楽器を支え、ときにソロで音そのものの魅力を伝える。ビオラの存在感を再確認した一夜は幕を閉じた。(大城徹郎)