北部2病院、5年後に統合 県立と医師会、医師不足解消図る


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 「北部地域の医療提供体制の確保に関する研究会」(座長・宮城信雄県医師会長)の宮城座長や上原哲夫県立北部病院長、諸喜田林北部地区医師会病院長らは25日、県庁に浦崎唯昭副知事を訪ね、本島北部地域の慢性的な医師不足解消のため、県立北部病院(名護市、許可病床327床)と北部地区医師会病院(名護市、同236床)の「統合再編による病院整備を図ることが望ましい」との結論をまとめた報告書を手交した。

報告を受けて県は5年後をめどにした両病院組織統合を前提に、来年度から検討会を発足させ、基幹病院設立のための具体的な作業に着手する。
 基幹病院は400~500床規模が想定されており、内科、外科など両病院で重なる診療科は集約する。経営形態などは検討会で協議する。
 北部病院は医師不足のため産科などで診療制限をしており、患者数の減少や医師の過重負担につながっているとされる。研究会はその現状が医師の診療技術の維持・向上への懸念や勤労意欲の低下を招き、医師の辞職や赴任の敬遠につながっていると指摘した。北部医師会病院でも医師確保が困難で、また北部病院の診療制限の影響で患者数が増大し、対応に苦慮していると報告した。
 統合による症例数増加により研修体制の構築や専門性向上が図れる環境整備ができるとして、恒常的な医師確保につながるとみている。また中核病院を一つにして派遣先が分散する状況を解消し、琉球大学医学部付属病院などが医師を派遣しやすい環境をつくる狙いもある。
 このほか研究会は医師不足解消のため、医師の住環境整備やその子どもの教育環境整備も求めた。研究会は県医師会や北部病院、北部医師会病院のほか、県保健医療部や県病院事業局、琉球大学医学部付属病院、北部市町村会などで構成されている。