安全な食と遊びを 福島の親子、愛楽園で一時保養


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入所者(左側)から手作りのクリスマスカードを贈られる福島県の親子ら=25日、名護市の愛楽園

 【名護】福島県の子どもと母親ら20人が23日から、一時保養を目的に沖縄を訪れ、国立療養所沖縄愛楽園(名護市)で宿泊し、入所者らと交流を深めている。25日には同園のクリスマスパーティーに参加し、入所者から親子に励ましの詩が記された手作りクリスマスカードが贈られた。親子らは感謝の気持ちを表しながら、地域で支え合って暮らすことの大切さに共感していた。

 「ちむドンドンin沖縄愛楽園」と題する企画で、羽地米などやんばるの特産物を食べてもらい、野外で放射能被害を心配することなく遊んでもらうのが目的。同園ではハンセン病問題の差別や偏見の歴史を学習したほか、26日には平和学習の一環として、米軍普天間飛行場の移設計画が進められている大浦湾を船で巡った。金城雅春自治会長は「沖縄の自然や現実を体験しながら、安全な食材と遊びを楽しんでほしい」と話した。
 子ども2人と来県した上石純子さんは「低線量だが被ばくしていることを考えると、散歩や砂場遊びも敬遠している。沖縄では子どもがタンポポで花束を作っているのを見てうれしかった」と一時保養の意義を強調した。佐藤由美さんも子ども2人と参加し「ハンセン病について学ぶことができた。差別を受けるつらい中で生き続けた経験は、福島の人々にとって応援のように聞こえる」と語った。
 真宗大谷派本山の東本願寺(京都市)がこれまで、全国の国立療養所と協力し、福島県内の親子の一時保養を受け入れてきた。冬場の保養を求める声があり、今回は初めて沖縄愛楽園が受け入れ先となった。29日に福島へ戻る。