新年飾る音の協演 シュガーホールオーケストラ


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歌三線と金管楽器の融合など多彩な曲を演奏する出演者=10日、南城市文化センター・シュガーホール

 シュガーホールオーケストラニューイヤーコンサート2015が10日、南城市文化センター・シュガーホールであった。同ホール開館20周年記念のシュガーホール国際音楽祭の一環。観衆はオーケストラと三線の融合、親しみやすい曲など、新年の幕開けにふさわしい豪華な音色の協演を満喫した。

 幕開けはシュガーホール芸術監督の中村透が編曲した、沖縄ではポピュラーな「かぎやで風」。オーケストラに歌三線の奏でるハーモニーが新鮮な風を吹かせる。歌三線だけでなく、金管楽器の音色が加わることで幅、奥行きを持たせた。
 グリーグ「ペールギュント」は指揮の松沼俊彦のダイナミックな指揮についていくように楽しげに音を奏でる。「第1組曲作品46より『3.アニトラの踊り』」は弦楽器の掛け合いが幻想的な雰囲気を演出する。続く「4.山の魔王の宮殿にて」でゆったりとしたテンポから徐々にテンポが速くなり、ボリュームも次第に大きくなり、緊張感を生み出す。おきでんシュガーホール新人演奏会の歴代入賞者も出演し、コンサートに花を添えた。
 昨年大ヒットした映画「アナと雪の女王」の主題歌「Let it go ありのままで」では、訪れた子どもたちの目をステージにくぎ付けにする。「芭蕉布」はオーケストラに合わせ、市内のコーラスグループの伸びやかな歌声が重なる。
 締めくくりは作曲したメンデルスゾーン自身が「最も成熟した作品になるだろう」と語ったとされる「交響曲第4番イ長調『イタリア』」。「第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ」の軽快なテンポから始まる。厳格で神聖さを印象付けた。「第2楽章 アンダンテ・コン・モート」から一転し、「第3楽章 コン・モート・モデラート」では優雅さがあふれ、「第4楽章 サルタレッロ・プレスト」は踊るようなリズムで軽快さを感じさせた。
 琉球古典音楽、クラシック、民謡、ポピュラーな曲を織り交ぜたぜいたくな一夜が幕を閉じた。(大城徹郎)