九州芸術祭文学賞、佐藤モニカさん最優秀賞 県内7人目


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佐藤モニカさん

 中央文壇への登竜門である第45回九州芸術祭文学賞(九州文化協会主催)の最優秀賞に佐藤モニカさん(40)=本名・屋良もにか、名護市、歌人=の小説「カーディガン」が選ばれた。沖縄地区から最優秀賞に選ばれるのは1998年の崎山麻夫さん以来、7人目。受賞作は「躍動的で新しい」などと評価された。

 同賞は今回、九州・沖縄の計11地区(8県3政令市)に計282編の応募があった。各地区優秀作11編を対象に29日、東京で最終選考会を開いた。表彰式は3月8日、福岡県筑後市の九州芸文館で開かれる。受賞作は「文学界」4月号に掲載される。受賞作を含む地区優秀作11編は作品集として刊行予定。
 「カーディガン」は沖縄に住む女性と、ブラジル日系4世で性同一性障害があるいとこの関わりを通し、自らのルーツなどについて葛藤する姿を描く物語。
 佐藤さんは2010年に第22回歌壇賞(本阿弥書店)、14年に第39回新沖縄文学賞を受賞している。「沖縄を舞台にした作品を初めて書いたが、それが評価されてよかった。今後も自分の足元を見詰めながら書き続けたい」と話した。
 選考委員は五木寛之(作家)、村田喜代子(同)、又吉栄喜(同)、武藤旬(「文学界」編集長)の各氏。「比喩がおもしろく、手あかがついていない表現」などと評価された。
 沖縄地区からこれまでに又吉栄喜、崎山多美、仲若直子、中村喬次、目取真俊、崎山麻夫の6氏が最優秀賞に選ばれている。