連弾、歌、情熱の舞 ゆたしくクラシック


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 「ゆたしくクラシックvol.7 氷上のクラシック~僕らのフィギュア(音楽家編)~」(一般社団法人楽友協会おきなわ主催)が1月30日、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホールであった。

気軽にクラシック音楽に親しんでもらおうと、同法人が昨年7月から毎月最終金曜日に開催しているコンサートの7回目。観客はピアノ、バレエ、テノールの異色の共演に酔いしれた。
 出演は新崎誠実(なるみ)(ピアノ)、新崎洋実(ひろみ)(同)、喜納響(テノール)。バレエはNSバレエ団の安里友香、又吉まこと、渡嘉敷由実。オリンピックなどでフィギュアスケーターが使用した楽曲が演奏された。ピアノの連弾と会場中に響く歌声、情熱的な舞が調和し、新鮮な芸術が繰り広げられた。
 幕開けは誠実のショパン「ノクターン第2番」。バンクーバー五輪で浅田真央が使用した、耳なじみのある曲で観客の心をつかむ。洋実もショパン「バラード第1番」を時折軽快に、時折情熱的に響かせる。プッチーニ「オペラ『トスカ』より星は光りぬ」では洋実のピアノに合わせ、喜納が力強く歌う。オペラの一場面を切り取った、喜納の圧倒的な歌声と表現力に観客も引き込まれていった。
 リスト「愛の夢第3番」は誠実の音色に合わせ、安里、又吉が妖艶に舞った。踊り終えた又吉は「生の音楽は音が波のように伝わる」と振り返ると、誠実も「美しい動きで譜面の表情を感じられた」と充実感をにじませた。
 誠実、洋実によるピアソラ「リベルタンゴ」も楽しげに弾く2人の表情が印象的。ハチャトゥリアン「劇音楽『仮面舞踏会』よりワルツ」では鍵盤上で2人の指が軽快に跳ねる連弾に合わせ、安里、又吉、渡嘉敷が情熱的に舞った。締めくくりはプッチーニ「オペラ『トゥーランドット』より誰も寝てはならぬ」。2人の連弾による重厚な旋律と喜納の清涼感ある歌声が折り重なっていった。
 約1時間と短くも濃密な時間に込められた、多様な芸術の融合が幕を閉じた。(大城徹郎)
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 「ゆたしくクラシックvol.8 銀幕の世界へ」は27日午後6時半、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホールで。

新崎洋実のピアノに合わせ、情感たっぷりに歌う喜納響=1月30日、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール
新崎誠実の旋律と調和するように舞う安里友香、又吉まこと=1月30日、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール