『チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密』


社会
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ジョニデ主演でドタバタ映画
 ジョニー・デップが、『シークレット ウィンドウ』のデヴィッド・コープと再び組んだ新作。人気スター主演のハリウッド映画には珍しいスラップスティック・コメディーだ。ゴヤの幻の名画が何者かに盗まれ、インチキ美術商のモルデカイが英国情報機関M15に依頼されて行方を追う…という内容自体もそれなりに面白いが、モルデカイのくせ者ぶりと、彼を取り巻く登場人物たちとの関係性&珍妙なやりとりこそが、最大の見どころである。

 サスペンス映画の『シークレット~』では、ヒチコックを意識した演出が作品を貫いていて好感を覚えたが、今回もコープ監督の演出プランは首尾一貫している。まず、アクションもロマンスも全て笑いに還元されるように作られているところ。さらにその笑いも、ソフィスティケートされた笑いではなく、下ネタやお下劣なギャグばかり。イギリス、香港、ロシア、アメリカと世界中を飛び回る話なのに移動シーンは描かれず、まるで舞台劇のようにほとんどがセット撮影…と見ていくと、あくまでもドタバタ重視で、それ以外の要素はテンポよく簡潔にという意図がありあり。
 コープ監督が今回意識したのは、恐らくチャプリンに代表されるサイレント映画のコメディーなのだろう。それがジョニデ目当ての日本の観客にウケるかどうかは、また別の話だが。★★★☆☆(外山真也)

 【データ】
監督:デヴィッド・コープ
出演:ジョニー・デップ、グウィネス・パルトロー、ユアン・マクレガー
2月6日(金)から全国公開
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外山真也のプロフィル
 とやま・しんや 映画ライター&時々編集者。1966年愛知県出身。学生時代はヨーロッパ映画を中心に見ていたが、情報誌の仕事が長かったため、今は洋の東西を問わず、単館系からハリウッドまで幅広くが信条。主な執筆媒体:月刊TVfan、日本映画navi、ぴあ各誌。
(共同通信)

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外山真也