映画「標的の村」後援中止 横浜市教委「中立性に誤解」


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 横浜市教育委員会が、映画「標的の村」の上映会への後援を一度は了解しながらも、その後市民からの苦情を受け、取りやめていたことが13日、明らかになった。「標的の村」は東村高江へのヘリパッド建設やオスプレイ配備に反対する市民らを描いた内容。市教育委員会生涯学習文化財課の石田英昭課長は「映画は賛否が分かれるテーマを扱った内容。市教委が後援すると一方の立場を支持していると誤解されるといけないと考え、取りやめた」と説明した。上映会は28日に横浜市内で予定通り開催する。

 上映会を主催する「横浜キネマ倶楽部」は昨年11月、市教委に上映会への後援依頼申請書を提出。市教委側は書類に不備はないとして当初は後援を決定した。しかしその後、市民から「市教委が後援するのはおかしい」などの意見が約20件寄せられた。担当職員がインターネットで映画についての情報を集め、後援に適さない内容だと判断し、2月12日に主催者側に後援取りやめを伝えた。市教委によると市教委側は、映画そのものは見ていない。
 上演会主催者の横浜キネマ倶楽部の伊藤幹郎会長は「後援取りやめについて了解していない」と市の対応に疑問を示しつつも「市教委側が求めた、上映会当日に後援名義を使用しないこと、名義を印刷したネット告知を早めに削除することには対応したい」と述べた。
 同映画監督の三上智恵さんは「映画を見ずに偏っているなどと判断するのはおかしい。クレーム(苦情)があったからやめるということはただの萎縮で、日本の国の命取りになる」と市教委の対応を批判した。
 同映画を制作した琉球朝日放送の謝花尚・報道制作部長は「後援取りやめは残念だが、今回のことをきっかけに市教委自身が対応や基地問題などについて議論するきっかけになってほしい」と述べた。