「自己決定権の証し」 沖縄特別展シンポ 3条約の意義語る


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
琉米・琉仏・琉蘭の3条約の意義について意見を交わす(手前から)沖縄国際大学教授の田名真之氏、琉球大学名誉教授の西里喜行氏、京都・霊山歴史館副館長の木村幸比古氏=28日午後、那覇市泉崎の琉球新報ホール

 浦添市美術館で開かれている「琉球・幕末・明治維新 沖縄特別展」の関連イベント「特別シンポジウム」(琉球新報社、沖縄産業計画主催)が28日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれた。3人の登壇者が、1850年代に結ばれた琉米・琉仏・琉蘭の3条約について意見を交わし「琉球が外交面で自己決定権を行使した証しだ」などと意義付けし「今に引き付けて条約の意味を考えてほしい」などと呼び掛けた。

 登壇者は木村幸比古霊山歴史館副館長、西里喜行琉球大学名誉教授、田名真之沖縄国際大学教授。
 西里氏は「条約は、不平等な内容だが、琉球側に米兵への逮捕権を認めさせるなどぎりぎりの交渉で外交権、自己決定権を行使した証しだ」と指摘。「国際的に見たら琉球は主権国家の側面があった。併合をもくろんだ明治政府にとって条約は一番の障害だった」と話し、明治政府に没収された経緯などを説明した。
 田名氏は「歴史は、基本的には現在のわれわれが意味付けする。琉球は3条約を嫌々ながら締結したが、併合を迫る明治政府への抵抗の武器になった。時代時代で条約の意味が変わる。現在展示されている原本を見て、今に引き付けて意味を考えてほしい」と述べた。
 木村氏は「条約の意味は、苦渋の中にある沖縄の人々が的確に判断する。条約締結に対応した人々の努力は永遠に変わらない」と話した。
 約300人の聴衆が熱心に話を聞いた。