一緒に「好き」楽しもう 「おひさま日記」森山さん講演


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「子どもの才能を伸ばそう」をテーマに講演した森山和泉さん=1日、名護市の名護市民会館

 本紙連載「天才児ひなとかのんのおひさま日記」の著者、森山和泉さんを招いた講演会が1日、名護市民会館であり、約120人が参加した。

「子どもの才能を伸ばそう」と題し、発達障がいのある双子のひなさん、かのんさん(仮名)の子育て経験を語った森山さんは「子どもの才能を見つけるのは難しくても『好き』は見つけられる。子どもが大好きなものを一緒に楽しんでほしい。新しい世界が広がる」と願いを込めた。
 講演会は名護市民会館自主文化事業「こども一万人の個展」(名護市、同市教育委員会主催)の10周年記念特別企画で開かれた。
 現在高1の姉妹は、幼いころから「描く」ことに関心を示した。近年かのんさんは昆虫や植物などを繊細に描写し、ひなさんは妖怪など独創的な作品を描いている。
 森山さんは、早産で生まれた2人の状態を受け止められずに苦しんだ経験や、思春期を迎える姉妹との日々を語り、「才能とは『何かができる』『成功する』ことではなく、つらいときの心の支えになるものだと思う」と話した。
 森山さんは「2人とも最初から絵が上手だったわけじゃない」と語り、かのんさんは絵の具を混ぜ合わせて紙一面に塗るだけの時期があったことを紹介した。小3の終わりに、かのんさんにせがまれるまま、自転車で桜並木を何度も往復した翌日、「びっくりするぐらいきれいで繊細な桜の絵を描いた」と振り返り、“待つ”大切さを伝えた。
 「ひなとかのんが生まれたとき、『普通じゃない』『リセットしたい』と感じてしまい、とても苦しかった。人として間違っていると分かっていても感情を止められなかった」と打ち明けた森山さん。療育機関で出会った“先輩ママ”が思いを受け止めてくれた経験を語り、両親や親戚、地域の人々、学校の先生、専門家など「みんなが『この子』を育ててくれるチームで仲間だと思ってほしい。みんなで子どもを育てよう」と呼び掛けた。