農民一揆に県民重ね 民族歌舞団「花こま」


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「車人形」で命を懸けて戦いに臨む主人公の宗吾と甚兵衛=7日、伊江村農村環境改善センターホール

 【伊江】一般財団法人わびあいの里が主催する第13回「ゆずり合い・助け合い・学び合う会」の学習会の一環で7日、伊江村農村環境改善センターで劇が上演された。兵庫県を中心に活動する民族歌舞団「花こま」が、三味線の弾き語りで情景や心情を伝え、車輪が付いた箱に座って人形を操る「車人形」を上演した。

同財団の反戦平和資料館「ヌチドゥタカラの家」開館30周年と故阿波根昌鴻さんの13回忌追悼に合わせての公演。
 故阿波根さんについて同団の藤尾千恵子代表は「人間らしく生きるということがどういうことなのかを生涯追求された方だと思う。教えの一つ一つが心に染みている」とあいさつした。
 演目は、農民一揆を題材に歌舞伎などで上演されてきた「佐倉義民伝―甚兵衛渡しの段」に創作を加えた作品。江戸時代の農民たちの窮状を救うために戦う名主の宗吾と渡し守の甚兵衛を主人公に、命を懸けた人間同士の結び付きやその生きざまを描いた。
 県民集会にも参加した藤尾代表は「せりふの中で『たびたびの訴訟に聞き入れられず』とあるが、一つのせりふの中に込められた思いが、名護市辺野古への新基地建設に反対し、闘い続ける県民の姿や情景が重なる」と話した。各地でこの作品を上演する時には「沖縄のことを語りながら上演する」と思いを語った。(中川廣江通信員)