30年、5000人と紡いだ夢 ライブハウスMOD’S


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30周年について「ずっと手探り状態でやってきた結果」と話す喜屋武尚オーナー=19日、北谷町の「LIVE HOUSE MOD’S」

 北谷町の「LIVE HOUSE MOD’S(ライブハウスモッズ)」がことし30周年を迎えた。15、16の両日、30周年記念ライブがあり、初日の15日はシンガーソングライターのAnlyなどが出演。

2日目は古謝美佐子が登場し、「童神」などで心に染み入る歌声を響かせた。また「與那嶺商会」はコミカルな振り付けに合わせ、観客と共に歌うなど、2日間で約30組が出演し、節目を祝った。ライブを終え、オーナーの喜屋武尚は「気付いたら30年。ずっと手探りの状態でやってきた結果だ」と語る。
 1985年、沖縄市で産声を上げたライブハウスは開店20周年を迎え、北谷町に店を移した。この30年間、CD発売、お披露目の際など、約5000人のアーティストがこのライブハウスでステージを体験し、県外へ飛び出した者も多い。
 喜屋武は今回のライブを振り返り、「出演してほしかったバンド、アーティストは数え切れないほど。今回出演していないからと言って、私の脳裏から離れたわけではないので申し訳ないという思いが強い」と語る。
 ライブハウスにとって大事なことは「ハコ、お客さん、アーティストの三つを全て満足させられるようにすることだ」と語る。若手の育成にも力を入れている。「30年と言うと、親から子ども、孫の世代にもつながっている。ここを訪れた人の子どもにも魅力を持った人も多い。これを世に出さないといけないとの思いもある」と話す。
 また、家族への感謝の言葉を照れくさそうに口にした。「もともとおやじ(自分)のわがままに妻や息子を巻き込んでしまった。今では音響、照明は息子が、料理も妻が作る自慢のもの」と笑顔を見せる。「オーナーが体調を崩したり、少し経営が立ちゆかなくなったりするとライブハウスを閉めるということもある。でも、ここは家族のためにもずっと続けていかないといけないな」と決意を力強く語った。
 喜屋武にとってライブハウスは「アーティストと一緒に夢を作り続ける場所」。短い言葉に熱い思いを込めた。(大城徹郎)