障がい理由差別20件 県共生社会条例施行1年


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 「県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例(共生社会条例)」が1日で施行から1年を迎えた。障がい者からの「差別」についての相談が条例施行の昨年4月から同年末までに延べ144件、県に寄せられた。このうち、条例違反となる障がいを理由にした差別は20件だった。

 相談は障がい者への差別解消の支援策の一つ。まず市町村に配置されている差別事例相談員が相談を受け、このうち困難な事例に対して県の広域相談専門員(3人)が助言する。144件は、広域相談専門員が受けた相談数。市町村からの困難事例のほか、障がい者から直接連絡があった相談も含まれる。
 このうち124件は条例の対象外の相談や意見、要望などだった。条例違反となった20件では、福祉サービスに関する相談が最も多かった。
 内容は「福祉サービスの利用に正当な理由もなく制限をつけられた」「普通学校に進学したいが、学校に断られた」など。観光で来県した障がい者がマリンスポーツを断られたという事例もあった。
 広域相談専門員の石川香那さんは「対応した人に認識不足の面がある。丁寧に説明することや適切な窓口を紹介する必要があることなどを時間をかけて説明している」と説明。「条例の啓発にさらに力を入れたい」と話した。
 県障害福祉課は5月をめどに、施行から1年の間に各市町村に寄せられた相談を集計する。
 共生社会条例は、障がいの有無にかかわらず安心して暮らすことができる共生社会の実現を目指すもので、(1)障がいを理由とする差別の禁止(2)必要かつ合理的な配慮を提供する義務(3)障がいのある人への虐待の禁止―などを定めている。違反者に対する罰則規定はない。(23面に関連)