米海軍訓練、イルカ保護に違反 ハワイ連邦地裁判決


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 【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】ハワイ州連邦地裁は3月31日、米海軍によるハワイ州やカリフォルニア州沖での訓練計画を承認した米海洋漁業局の判断が「クジラやイルカなどの海洋動物の保護を定めた海洋哺乳動物保護法(MMPA)に違反する」との判決を出した。AP通信など米メデイアが報じた。連邦地裁の判決は軍隊であっても環境破壊につながる訓練は認めないことを鮮明にした。

 米メディアによると、ハワイの環境団体らは2013年、海軍の計画を承認した米海洋漁業局を提訴した。ハワイ州連邦地裁のモロウェイ判事は海軍の訓練が海洋動物に与える影響はわずかとする漁業局の主張を退け、海軍の環境影響評価(アセスメント)が代替案の検討など「環境への配慮が不十分」と指摘した。
 また海軍の訓練で使用する爆発物で、ハワイやカリフォルニア沖に生息するクジラやイルカ155頭を殺傷し、東海岸沖で1万1千頭以上に深刻な傷害を与える可能性があると推定した。殺傷数が生存率に与える影響は可能性が高いことも指摘した。
 絶滅危惧種に指定されているザトウクジラについても、影響がないとする米海軍に対し、十分な説明になっていないと疑問視した。
 原告団の弁護士、ヘンキン氏はAP通信に対し「判決は海軍が米50州を足した面積より大きい海域で、訓練する必要がないことを認めた」と述べた。
 2006年には対潜水艦訓練で使用する音波探知機(ソナー)がクジラなどに悪影響があるとして、07~09年に南カリフォルニア沖で実施する14の大規模演習での使用禁止の仮処分を下していたが、08年、米連邦最高裁は「海軍の訓練は公益性がより高い」として、ソナーの使用制限を認めた下級裁判所の仮処分を取り消す判決を出している。