「越境広場」0号出版 沖縄を考える新雑誌


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 沖縄を取り巻く政治的、文化的、思想的な課題を考える総合雑誌「越境広場」(同刊行委員会)の創刊0号が、このほど出版された。沖縄の視点を踏まえながら、県内外、東アジアの論者が沖縄、アジアに関する論考を寄せている。

刊行委員会は「若い書き手が表現し、育っていくための媒体、沖縄を考えるときにアジアに広がる思考を模索できる媒体を目指したい」と話している。
 創刊0号の特集は「沖縄&アジア 交差する記憶と身体」「阿Qと琉Q」の2本。仲里効さんと孫歌さんの往復書簡や、北島角子さんの「ウチナーグチ版・憲法九条」などを掲載している。表紙は2月20日に死去した真喜志勉さんが手掛けた。
 編集委員は20代から40代が中心となり、作家の崎山多美さん、批評家の仲里効さんが支えた。
 編集委員の上原こずえさんは「沖縄の状況を何とかしたいと思っている人たちの中で、互いの意見を知らないまま対立しているような気がする」と今の沖縄の言説状況を捉え、自由な言論の場として雑誌の役割に期待。親川裕子さんは「積極的に討論を仕掛けることが雑誌の役割。沖縄にいる者たちが議論を押し広げていけるものにしていきたい」と語った。
 我部聖さんは1960年代から90年代にかけて沖縄の文化活動の中心的役割を果たしてきた雑誌「新沖縄文学」を挙げ、「『新沖縄文学』のような批評も文学もある雑誌を、年齢が近い人たちと作ることができてうれしい」と話した。
 「越境広場」は年2回発行予定。千円。問い合わせekkyohiroba@gmail.com

「越境広場」編集委員の(左から)親川裕子さん、上原こずえさん、我部聖さん=那覇市の沖縄大学
「越境広場」創刊0号の表紙